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おすすめの本


No.603 平成29年4月


 『いのちの車窓から』『食の思想 小林カツ代の日常茶飯』
星野 源/著 KADOKAWA 小林 カツ代/著 河出書房新社
 歌にドラマに大活躍。昨年は出演したドラマや自ら歌った主題歌の大ヒットでお茶の間を席捲した著者。その忙しい合間をぬって雑誌『ダ・ヴィンチ』で連載していたエッセイが出版されました。
 日々感じる季節のうつろいや共演者のこと。大ヒットした自分の歌に秘めたあるスターへの思い。また、くも膜下出血による闘病生活の時の自分の様子についても語っています。
 著者のもう一つの顔であるエッセイストとしての魅力が詰まった一冊です。
 (U.A)



 料理研究家として絶大な知名度と実績を持ち、2014年にその生涯を閉じた小林カツ代さんのエッセイ集です。結婚するまで料理は一切できず、最初に作った味噌汁での大失敗が赤裸々に綴られています。
 料理本のレシピ通りにやってうまくできないならあえて逆のやり方を試してみる、子どもの好物は滅多に作らない等々、小林さんの独自の考え方を知ることができます。毎日の料理と食事に、小林流を取り入れてみませんか?
 (S.S)



『ソニア・ウェイワードの帰還』『「勝ち組」異聞  
  ~ブラジル日系移民の戦後70年~』
マイケル・イネス/著 論創社深沢 正雪/著 無明舎出版
 主人公の男は、人気女流作家と結婚して以来、妻の収入に頼って生きてきました。物語は夫婦での旅行中のヨットの上から始まります。夫が気づいた時には妻の心臓は停まっていました。何かの原因で突然死んでしまったのです。
 妻が死んだら収入が絶たれるとあわてた夫は、死体を海に投げ捨ててしまいます。そして、妻は一人で旅行中だと嘘をつき、書きかけの小説の続きを自分で書き始めます。こうして妻の死を隠し通そうとあれこれ奮闘しますが、同居している使用人が怪しみだし、仕事関係の人も妻に会いたがります。
 主人公のハラハラぶりがシニカルに描かれた小説です。
 (N・K)



 戦後、日本から遠く離れたブラジルでは、移民たちの「勝ち負け抗争」が始まっていった。
 日本の敗戦を認めたくない移民大衆「勝ち組」と、敗戦を認めさせようとした「負け組」との、日本人同士の血みどろの争いのことである。
 敗戦を偽情報だと思い込む移民たち。揺れ動く心理、信憑性のない情報源。こうした特殊な状況のなかで、一体なにが起こり、どれだけの日本人が、命を落としてしまったのか。
 今なおブラジルの移民たちの、トラウマとなっている、この事件の真相に迫る一冊。
 (Y・N)



 『会津執権の栄誉』『文士の遺言』
佐藤 巖太郎/著 文藝春秋 半藤 一利/著 講談社
 若き当主が家臣に弑逆され、その子が1歳で跡を継ぐも病気により夭折し、お家断絶の危機にある「芦名家」。残された家臣達の手により、近くの佐竹家から次男を当主として貰うことに成功する。
 しかし、新当主の補佐役として送り込まれた佐竹家の家臣達の政治介入により、両家家臣の間に軋轢が生じてしまう。
 両家が主導権争いをしている中、その隙をついて奥羽の覇権を目指す伊達正宗が芦名家の領土へ侵攻を開始する。会津の名家「芦名家」の行く末とは・・・ 
 (Y.E)


 ノンフィクション作家の著者は、もともとは文藝春秋の名編集者でした。
 ボート部員だった大学時代に、高見順原作の映画に撮影協力したことから、就職に関して高見氏の後押しを頼ったり、入社8日目には、坂口安吾の原稿を取りに行き、原稿がもらえないまま一週間坂口邸に泊まり込んだりと、ユニークなエピソードをたくさん持っています。
 永井荷風、司馬遼太郎、松本清張、丸谷才一など、戦後を代表する作家たちを編集者として間近に見てきた著者が、彼らが語り残した「遺言」を伝えます。
 (R.K)



 

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