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おすすめの本
 

No.745  令和5年6月

『ギフテッドの光と影』『人間がいなくなった後の自然』
阿部 朋美・伊藤 和行/著 朝日新聞出版      

 幼くして語彙力に長けていたり、並はずれた記憶力や理解力を備え、生まれながらに高い知能と突出した才能を持つ人々は「ギフテッド」と称されています。
 近年、あらゆるメディアでギフテッドが取り上げられ知られるようになりました。しかし、特異な才能ばかりが注目され、彼ら彼女らが抱える苦悩や問題はその影に隠れているのです。そもそもギフテッドの定義も難しく、その特性が理解されていない状況もあります。
 本書では、ギフテッドと呼ばれる当事者やその家族を取材し、日本の社会の在り方や諸外国の取り組みに目を向け実情を探っています。
(Y.O)
カル・フリン/著 木高 恵子/訳 草思社

 世界には廃墟・廃村が多くあります。有名なものとして挙げられるのは「チェルノブイリ」。当時の住民は3日も経てば戻って来られるつもりで避難しましたが、今もなお立ち入り禁止区域が残っているのが現実です。人間の立ち入りが制限され荒廃した土地となった現在ですが、独自の自然を育み様々な生態系が見られる貴重な場所となっています。
 自然に対して人間とはどうあるべきなのか、自然の厳しさ・穏やかさ・強さ、そして新たな生命の可能性を感じられる1冊です。

(A.K)
『その気持ち、なんて言う?』『東京の美しいドボク鑑賞術』
NHK「言葉にできない、そんな夜。」制作班/編
祥伝社


 同窓会で友達と数年ぶりに会うのは、嬉しいようなどこか怖いような…。こんな気持ちを、あなたはどんな言葉で表現しますか?
 この本は、どこにでもある日常の場面で誰もがいだく複雑な感情を、直木賞作家や紅白出場歌手など、豊かな表現力を持つ言葉のプロたちが表現したものです。漢字をひらがなに変えるだけでこんなにも受ける印象や意味に幅が出るのかと驚かされることも。
 言葉にしづらい気持ちが、多彩な表現で的確に文章化される、目から鱗の一冊です。

(S.S)
北河 大次郎/他著 エクスナレッジ

 東京タワー、東京駅、レインボーブリッジなど、映像・写真などで見聞きしたことがある名所をはじめ、都民の生活を支える橋や水門、発電所など、東京の土木を紹介しています。鎌倉時代からある井戸から、令和2年にオープンした空中公園まで、写真付きで見応えがある、ちょっとマニアックなドボク鑑賞。黒船にそなえて造られた人工島の台場、東京ゲートブリッジが「恐竜橋」という特徴的な形になった理由、橋の造形美が浮かび上がる隅田川のライトアップなど、知的好奇心が刺激される内容が詰まっています。東京の街づくりの歴史と、構造物に込められた技術が見えてくる一冊です。
(S.M)
『黄金比の縁』『家事か地獄か ~最期まですっくと生き抜く唯一の選択』
石田 夏穂/著 集英社

 「会社の不利益になる人間を採る。」
 花形部署から、人事課に左遷された主人公・小野。不当な辞令への恨みから、会社の不利益となる人材を採用することで、密かな復讐を始めます。それは、顔の縦と横の黄金比を満たすものを選ぶという、独自の評価軸を使うこと。
 黄金比が結んだ「縁」は、会社にどう影響するのでしょうか。また、進んだ先に見えた会社の実態とは、なんだったのでしょうか。
就活に隠された人間の本音を鋭く描きます。
(M.O)
稲垣 えみ子/著 マガジンハウス
 
 総務省の調査によれば、男女平均の一日の家事の時間は5年前に比べると、なんと5分も増えているそう!
 時短料理やハイテク家電で、我々がこんなに努力しているのに逆に増えているのは、努力の方向性が間違っているのかもしれません。
 そこで著者は、身の丈にあった家事を、死ぬまでやり続けること。つまり、自分の面倒は自分でみることだ、と提案しています。
 インフレやデフレ、災害や不況、老後もひっくるめて、これからのお金に頼らない生き方を考えてみませんか?

(Y.N)