令和5年度6月号


『青の刀匠』

 天沢夏月/著  ポプラ社
 
 突然の火事に見舞われた主人公コテツ。子どもを救助するため炎の中に飛び込んだ父親は重体に。コテツは未成年後見人のもとへ引き取られることになります。彼を引き取った老婦、カガリは日本で唯一の女性刀鍛冶。彼女の寡黙な姿、そして様々な事情を抱えた職人たちと触れ合うことで、傷ついたコテツの心にも変化が見られます。なぜ刀を作るのか?日本では手続きを踏まなければ日本刀を持つことは許されません。刀は美術品?工芸品?刀を作る職人の葛藤は、現代社会で伝統を守り続けるという難しさを考えさせられます。




『バーバラ・レオニ・ピカード 7つの国のおとぎ話』

    バーバラ・レオニ・ピカード/作 安藤紀子/訳 洋洋社
 
 「童話」として読むべきか?「なろう小説」「アルファポリス」で#異世界、#短編、#王子様を検索して読んでいる人は普段通りに読めるはずです。そうじゃない人も新しいジャンルとして読んでみてください。70年前のお話なので言葉は少し古く感じますが、今読んでも新鮮で、さくっと完結します。朝読書に読めば明るい気持ちで授業を迎えられます。希望を持ち続けて行動を起こせば、きっと未来を明るくできる。頑張る姿を、きっと誰かが見てくれている。勇気の出る一冊です。 




『認知症のわたしから、10代のあなたへ』

  さとうみき/著  岩波書店

 43歳の時に若年性認知症の著者が、10代の皆さん、そしてその10年後の皆さんへ向けたメッセージ。発達障害の息子をかかえ、診断を受けたとき「人生が終わった」と絶望した著者のさとうさんは、どうやって前向きに乗り越えることができたのでしょうか。特別扱いはしなくてもいいけれど、周りと違うことを知ってほしいとヘルプマークを掲げるさとうさん。できないことを気に病むより、自分ができることを増やしていきたい。そんな思いが伝わります。



『寓話に生きた人 イソップ その人生と13の物語』

 イアン・レンドラー/文 パメラ・ザガレンスキー/絵 山下愛純/訳  化学同人
 

  イソップ童話は2500年以上前から語りつがれています。「うさぎとかめ」や「オオカミと少年」「アリとキリギリス」こんなに時間がたっても面白く、私たちの心に教訓として残ります。では、彼がどのような人物だったのか、どこの国の人で、どのような立場の人間だったのか?実はイソップは奴隷の身分でした。これ以上は話しません。ただ「知識は身を助ける」ということ。イソップの人生はまるで一つのお話のようです。




『10代の悩みに効くマンガ、あります!』

 トミヤマユキコ/著   岩波ジュニア新書
 
   マンガライターであるトミヤマユキコさんが選ぶ、悩みに効くマンガを多数紹介!
私の心の教科書は中学生から買いためた「スラムダンク」です。ここ一番の大舞台で「通過点に過ぎん」と言い切る桜木花道に、今も勇気をもらっています。皆さんにはそういった本やマンガがありますか?
この本を読めば、自分の今の気持ちに寄り添ってくれる1冊が見つかるかもしれません。最近のものから30年くらい前まで、親世代も共感できるマンガがたくさん紹介されています。