令和5年度4月号


『ごはん食べにおいでよ』

 小手鞠 るい/著  講談社
 
 パンの香りは幸せの香り・・・。読んでいるとお腹がすいてくるほど食べ物のお話が満載です。子供のころから料理をすることが大好きな主人公は大人になり、ベイカリーカフェ「りんごの木」を開きました。この本では中学生だった少年の、料理を通してかかわった人や動物たちとのエピソードが、心の成長とともに描かれています。所々に作者が好きな作家や好きな音楽、好きな食べ物が盛り込まれ、それらの本を読みたくなったり、音楽を聴いてみたくなったりワクワクしますよ。最後には「りんごの木」の特別メニューのレシピも掲載してあります。



『オタクを武器に生きていく』

 吉田 尚記/作 河出書房新社
 
 「オタク」をネガティブに考える時代はもはや昔です。当時は「おたく」であることを隠しながら活動していた人もいました。ちなみに私は描かれた目を見れば何の漫画かわかるぐらい「少女漫画おたく」でした。渋谷にいるZ世代の若者に聞くと、8割が「オタ活、もしくは推しがいる」という回答結果だったそうです。そう言ったくくりであれば「私も!」という人がたくさん出てきそうですね。「好きなこと」を仕事にする人はほんの一握りです。でも、好きでいるからこそできる仕事はたくさんあります。この本では、オタクであることを仕事に生かした先輩たちの人生観などが描かれています。




『おもいででいっぱいになったら』

  はしもと みお/作  KISSA BOOKS

 ぼく(ネコ)の住む家の木にゆれているかみさま(みのむし)との出会いから別れまでのお話です。みのむしの命はおよそ1年。嬉しい、悲しいなどの気持ちや、様々な思い出で、かみさまは家を作ります。ぼくの上を揺れながら気持ちに寄り添いながら…。春には羽を広げて空へ飛んでいくけれど、毎年それでもかみさまはやってきてぼくの上から見ていてくれる。そしてたくさんの月日が流れ、ぼく自身がかみさまと別れる日が近づいて…。自分を見守ってくれる存在のありがたさを感じるあたたかいお話です。





『ヤングケアラー 考えよう、だれも取りのこさない社会』

 濱島淑惠/編著   文溪堂  
 

 最近CMでも良く流れている「ヤングケアラー」。中学生で親や家族、兄弟などの世話や介護、家事を日常的に担っている人は17人に1人と言われており、決して少なくありません。この人数であれば、あなたの身の回りにも大変な思いをしている人がいるかもしれないし、気づいていないだけで、実は自分がヤングケアラーだったという人もいるかもしれません。もしそうだったら、あなたはどうしますか?これは誰が悪いとかではなく社会の問題です。まずは理解すること。そして少しでも心の負担を軽くしたい。そんな願いも込めた一冊です。



『いちばん大切な食べものの話』

 小泉武夫・井出留美/著    岩波書店
 
 ロシアとウクライナの戦争の影響もあり、ある食べ物が品薄になったり、値上がりしたりしているのをニュースで見たことはありますか?天ぷらそばをよく例にあげますが、日本はほとんどが輸入によって食品をまかなっています。もし輸入がストップすれば、日本から食料がなくなってしまうと、この本では警告しています。では日本の食のために何を取り組むべきなのか?食べ物を粗末にせず、その価値を知るべきだということ。そして農業をもっと活性化させていくこと。他にも私たちに何かできることはあるはずです。