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おすすめの本
 

No.747  令和5年7月

『戦争はすべてを奪っていく』『最強に面白い時間』
村山 士郎、金田一 清子、西條 昭男/編著
新日本出版社
      

 今も世界の各地で紛争が絶えません。昨年2月にロシアがウクライナ侵攻を開始し、ウクライナでは多くの犠牲者が出て、国土は壊滅的な打撃を受けています。そんな様子を映像や紙面で目にした日本の子どもたちはどのように感じ、どのような思いを抱いているのでしょうか。本書には、戦争や平和についての学校の授業での取り組みから、子どもたちが書いた作文や詩を集め、まとめています。また、高校生の戦争反対の活動も紹介しています。子どもたちの素直で誠実な気持ちや鋭い指摘にドキリとするような言葉が綴られています。子どもたちの切なる願いに大人の対応が問われます。
 (Y.O
二間瀬 敏史/監修 石田 直理雄/監修
ニュートンプレス

 「時間とは、いったい何なのでしょうか?」本書は、この疑問から始まります。
 多くの学者がその解明を志しますが、未だその全容が見えていない領域。それが時間です。誰にとっても身近なこの謎は、私たちの体内時計から、世界の成り立ち、果てはタイムトラベルにまで広がり、一種のロマンとして語られています。本書は、そのすべてに触れ、既存の理論から導き出される式の解説や実現性を説いています。子供の頃に見た夢が、いつかは叶うかもしれない。そう思わせてくれる、最強に面白い一冊となっております。
(W.H)
『原田マハ、アートの達人に会いにいく』『いなくなっていない父』
原田 マハ/著 新潮社

 アート小説の名手と呼ばれる作家、原田マハ。これまでに様々な絵画や画家を取りあげた小説や、美術館、絵画鑑賞の秘訣や絵画への思いなど、芸術に関する本を数多く出版してきました。この本は、アートを支えてきた人々や憧れのあの人、33人の達人たちとの対話をまとめたものです。どの人との対話も、私の道を照らしてくれたという著者。福原義春、ドナルド・キーン、安藤忠雄など、様々な分野の達人たちが登場します。本書の中の数々の言葉は読者であるあなたの道も、必ず照らしてくれると信じていると著者は語ります。
(T.M)
金川 晋吾/著   晶文社

 著者が中学生のころから、たびたび家出をし、行方をくらませていた父。写真家となった著者は、蒸発を繰りかえしていた父を被写体に『father』という写真集を出版しました。
 本書はその写真集の撮影、出版を通して、どのように被写体である父を見つめてきたかを語ります。ファインダー越しに現れてくる父という他人。赤裸々な言葉で綴られる、父の不在を問う著者自身への問答。
 写真という手段を、言葉という道具を使ってなんとか、この関係性を表現したいと望む著者の試行錯誤がみえるかのようです。
(Y.M)

『江戸の絵本読解マニュアル』『水中ミステリー 海底遺跡と難破船』
叢の会/編  文学通信

 江戸の町民文化が華開いた時代、絵と文の総合的な表現による大衆読み物が発達しました。それがいわゆる「草双紙」。木版による出版の発達が後押しし、当時の世相や流行を反映した、多様でユニークなものが、次々と世に生まれることになったのです。
 この本は、その草双紙の作品や表現方法を解説。桃太郎のライバルに柿太郎の登場や、愛すべきかわいい化け物たち、なんとも理解できない、漢方薬の恋愛作品などを紹介。
 当時の庶民の娯楽に思いをはせながら、日本文学の歴史が学べます。
(Y.N)
井上 たかひこ/著 東京新聞
 
 水中考古学という学問を知っていますか?海や湖の底に沈んだ遺跡や船を研究・調査する学問です。この本では、難破船に憧れて30代の頃に水中考古学を志した著者が、ロマン溢れる水中考古学の事例を紹介しています。
 生身の人間が潜れる限界といわれている水深50メートル付近に沈んでいる世界最古の交易船では数多くの財宝が発見され、地震と津波で沈んだ「水底のポンペイ」からは地震の時刻を示す懐中時計も発見されました。
 地上より良い状態で現在まで残るという、水中の遺産を巡る旅に出かけてみませんか。
(S.S