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おすすめの本
 

No.746  令和5年7月

『私はないものを数えない。』『人を動かすナラティブ』
葦原 海/著 サンマーク出版      

 
著者は25歳の女性。モデル活動も行う人気のインフルエンサーで、マニアを自称するほどディズニーランドが大好き。ただ少しだけ人と違うのは、とにかく明るい性格と、両足が無いこと。
   16歳の高校生だった時に事故で両足を切断した著者は、車椅子ユーザーになって初めて、健常者と障がい者との間の固定観念の壁を実感します。その壁を壊すために、「誰かではなくまずは自分でやろう!」と、自ら表舞台に立つことを選びました。
   パリコレだって経験したけれど将来の夢は今も昔もテレビの大道具さん、という元気いっぱいな著者が、これまでの経験を等身大の言葉で綴ります。
(S.S)
大治 朋子/著 毎日新聞出版

 日本ではまだ聞きなじみのない「ナラティブ」という言葉は、物語(語りの中身)や語り(語る行為)といった意味です。人は誰しも自分の物語を持ち、それに従って、行動したり、語ったりします。ところが、他者からの語りが正しいと思い込むと、客観的な判断ができなくなります。明らかにおかしいと思えることであっても、自分自身は正しいと信じたまま誤った行動を取り、平気で物を壊したり、人を傷つけたりもします
 著者は、ナラティブを深く知り、意識した結果、見える世界が変わったと言います。この本を読んで自分のナラティブとの向き合い方を考えてみてはいかがですか。
(K.S)
『フォトミステリー』『おとなになるのび太たちへ』
道尾 秀介/著 ワニブックス    

 一枚の写真からはじまる、思いもよらないミステリー。読めば読むほどに、なんだか、ぞっとする奇妙な感覚に…
 直木賞作家・道尾秀介が、何でもない一枚の写真をもとに、ミステリーの世界を広げていく短編集です。そこに見えない過去や事実があったとしたら?きっと、物語はこう進んでいくに違いないと思えてくるから不思議です。
 著者の悪戯心が満載。あなたは、このミステリーをどう読みときますか?
(Y.N)
藤子・F・不二雄/まんが   小学館

 各界の10人の著名人がドラえもんの中で好きなマンガを一話紹介しつつ、その影響を受けたストーリーを通して、自らの人生観や職業について語る本書。
 子供の頃は面白おかしくマンガやテレビで触れていたドラえもんも、大人になって改めて読み返してみると、そのユーモアの裏には教訓めいた部分も多くあります。頑張ってみるけど失敗したり、つい怠けて困った時はドラえもんに甘えるのび太は、まさに人間味に溢れたキャラクターです。
 子供はもちろん、大人にもお薦めの一冊です。
(K.A)

『祖母姫、ロンドンへ行く!』『ファーブル昆虫記誰も知らなかった楽しみ方』
椹野 道流/著  小学館

 正月に親戚が集まった時、祖母が「一生に一度でいいからイギリスに行きたい、お姫様のような旅がしたい」と言ったことで、「ロンドンお姫様旅行計画」が発動します。祖母の希望を叶えてやりたいと叔父たちの練りに練った五泊七日の豪華な旅。祖母の旅をお供するのは、留学経験がある孫娘の著者です
 祖母は美しいもの、豪華なもの、優雅なものが好き。観光は、祖母の美学に添うものでなくてはならないそんな二人旅は、珍道中ながらも一生忘れられないすてきな思い出がたくさん。著者にとっても宝物となっている旅の日々を本書に綴っています。祖母の懐の深さを知る孫との関係は、温かい気持ちになります。
(Y.K)
海野 和男/写真 伊地知 英信/文 草思社
 
 世代を超えて読み継がれている『ファーブル昆虫記』。フランスの昆虫学者のジャン・アンリ・ファーブルが、55歳から約30年を費やして書いた全10巻221章からなる長大な自然観察記です。
 本書では、読破するには手ごわいその大作の魅力と楽しみ方を教えてくれます。ファーブルの人物像にも触れ、彼が生きた時代や昆虫記が書かれた背景をたどっています。昆虫写真家と自然科学系のライター二人が、実際にファーブルが生きた地を訪れ、その目で見て、感じたことを盛り込んで昆虫記の世界へ誘っています。
(Y.O)