令和5年度11月号


『クグが拾った物語』

 いとうひろし/著  理論社
 
  いとうひろしさんの「クグノタカラバコ」や「クグノビックリバコ」を小さい頃に読んだことがある人は「あっ!」と思うかもしれません。
これは世界中を旅して拾い集めた「宝物」の物語についての物語です。一見何でもないものがクグにとっては宝物なのです。それは水鉄砲から食パン、一本のひも…等々。
ある日砂漠の町へ行ったクグが帰ってこなくなり、探すために「私」はその町を訪ねていくと…。
子どものころはなんとなく読んでいたお話が、この本は大人向けかな?と考えてしまう場面があり、不思議な感覚に没入してしまいそうです。




 




『地図と星座の少女』

   キラン・ミルウッド・ハーグレイプ/著      佐藤志敦/訳  岩波書店

 ある日同級生のカータが遺体となって発見されます。それを聞いた親友ループの様子がおかしくなりました。「自分のせいでカータが死んだのだ」と彼女は禁じられた森へ消えていき、帰ってくる様子がありません。ループを探すために13歳の地図職人のイザベラも森へと入って行きます。様々な秘密が隠されたその森で出会ったものとは?そして暴かれていく自分の暮らす島と総督の正体とは?
魔物や盗賊、冒険とミステリーを含んだお話に、思わず次のページが気になってしまう一冊です。





『僕の仕事は、世界を平和にすること。』

  川崎哲/著  旬報社

 「ピースボート」という言葉やポスターを見たことはありますか?直訳して“平和の船”。大きな客船で世界を回り、平和について学びます。実際に戦争被害を受けた国や、貧困地域などの現地に行き、交流などもします。著者である川崎さんの仕事はピースボートの代表であり、活動家でもあります。世界を平和にしたいという信念のために日本を飛び出し、様々な働きかけをしています。市民の自主的な活動家であるにもかかわらず、「核兵器禁止条約」を作り世界を動かしました。自分の思いを実現させるためにどのような行動を起こしたのか、興味のある人は必見です。






『出世できない孔子と、悩める十人の弟子たち』

  岡田憲治/著  晶文社

 「子曰く…」この冒頭を国語の教科書で見た人は多いと思います。今から2500年以上前、中国がいくつもの国に分裂していた頃、魯の国に「孔子」という人がいました。人の本質をとらえ、より良い生き方を説く彼の教えは人々の間に浸透し、後々日本にも大きな影響を与えました。その孔子について10人の弟子たちが語ります。人付き合いがヘタ。ずっと貧乏。すぐ役職を辞めたがる…等々。そこには知られざる一面が見え、すごい人物なのに身近に感じてしまいます。一つ一つのエピソードに呆れつつも、すばらしい教えを説いてくれる師に思いを馳せます。





『神さまと神はどう違うのか?』

 上枝美典/著  ちくまプリマー新書 

   たいていの人はピンチやお願いする時に手を合わせて何かに祈ります。大事な試合の最終回、合格発表、最近ではバスケットのブザービートとか…。そんな時の人物は「神さま」ですね。では「神」と使うときはどんな時でしょう?存在を感じられるのはどちらだと思いますか??
 哲学的でそして宗教的な内容もおり込まれていて、なかなか難しい内容ですが、それでも中学生・高校生向きに解説してあります。