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おすすめの本
 

No.744  令和5年6月

『徳川家康 弱者の戦略』『エレガントな毒の吐き方』
磯田 道史/著   文藝春秋

 NHK大河ドラマで注目を集めている徳川家康。知っているつもりの家康ですが、本当の家康はどうだったのでしょう。著者は誰もが読める家康の本を書こうと考えます。そこで、本の要点を「家康は、三河の弱小大名であったのに、なぜ・どうやって天下を手に入れ、260年も続く政権を築けたのか?」とし、読者の参考になるよう「家康の弱者の戦略」をみてもらうことにしました。最初から天下を目指したわけではなく、厳しい選択ばかりの人生を送った家康。みんなが生きるための歴史、パブリック・ストーリーとして、読者の人生の参考書となるような家康を描きます。 
T.M
中野 信子/著  日経BP

 「ぶぶ漬け、どうどす?」
 京都人が使うと言われる、あいまいな表現。これからは、お互いを傷つけあわないコミュニケーションを考えてみませんか?
 言いにくいことを遠まわしに伝え、エレガントに“イケズ”を言えば、相手を思いやりながら距離をとることができると脳科学者である著者は言います。
 相手を尊重しながら、上手な言葉遣いで調和を図る、京都ならではの「粋」で「雅」なおつきあい。論破よりもかっこいいと思いますが、さて、あなたは?
Y.N

『英国の幽霊城ミステリー』『なぜ英国は児童文学王国なのか』
織守 きょうや/文 山田 佳世子/イラスト
エクスナレッジ


 妖精や幽霊の伝説が多く残るイギリスでは、有名な城のほとんどに幽霊が出るというから驚きです。その伝説を紐解いていくと、その城やイギリスが辿ってきた歴史が見えてきます。
 生涯で6人の妻をもった16世紀の国王ヘンリー8世に処刑された妻たちの幽霊や、かつて監獄として使われていたロンドン塔の名も無き幽霊たち。『ハリー・ポッター』のホグワーツ城のモデルとなった城や、現在の王室一家が住まうバッキンガム宮殿も登場します。
 ユニークな特集で専門家のみならず注目を集める建築専門雑誌『建築知識』に連載されたエッセイをまとめた一冊です。
(S.S)
安藤 聡/著 平凡社

 時代を越えて、読み継がれる童話と幻想の故郷、英国。「不思議の国のアリス」「ナルニア国物語」「借り暮らしの小人たち」「くまのパディントン」など、世界中で愛される物語たちを著者は、英国特有の風土、文化、歴史、さまざまな角度から、作品が愛される理由を解説しています。物語そのものだけではなく、英国の暮らしと文化を紐づけての考察となっているので、英国文化を踏まえた物語のバックボーンまで読み取ることができるようになっています。本書に限らず、紹介されている童話たちにも目を通されることをおすすめします。
 新しい視点が、まだ見ぬ面白さを引き出してくれるかもしれません。
W.H
『太陽の王子ホルスの大冒険と東映長編まんが映画の世界』『きみはサイコロを振らない』
双葉社

 表紙をみて懐かしい!と感じる方もいらっしゃるかも。日本のアニメの黎明期を支えた東映アニメーション製作の子供向けアニメを紹介する本書は、小さいころに映画でご覧になった方には懐かしく、若い世代にはアニメのなりたちや歴史を楽しむことができる、どの世代も楽しめる一冊となっています。
 高畑勲監督お別れの会で宮崎駿監督は、この『太陽の王子 ホルスの大冒険』の製作時を振り返り「僕らは、精一杯、あの時生きたんだ」と涙ながらに語りました。巨匠となったアニメーターたちの青春でもある作品。ぜひこの本をきっかけにアニメ作品もご覧になってください。
Y.M 
新名 智/著  KADOKAWA
 
 「呪いのゲームを探してるの。遊ぶと死ぬ、とかいうやつ」。高校生の志崎晴は、クラスメートの莉久とその幼馴染で、大学院で呪いの研究をしているという葉月に誘われ、呪いのゲーム探しに乗り出しました。ところが、事実を究明するうちに、晴自身に異変が起こり、黒い影に襲われます。呪いのゲームが本当に存在するのか、晴に起こっている事は何なのか、彼女らと共に謎を追っていると、中学時代の同級生で、溺死した雪広の存在が浮上。やがて、雪広の死の真相と、晴との関係が明らかに。
 過去に傷を持つ若者たちが、苦悩を抱えながら互いに心を通わせていく姿が印象的です。
(Y.O)