令和5年5月号



桂 文我/ぶん きたやま ようこ/え BL出版

 「このごろ、とうふ屋(や)のかまがぬすまれている」と、うわさを聞(き)いたとうふ屋(や)の主人(しゅじん)はしんぱいで、かまの中(なか)でねることにしました。真夜中(まよなか)、あらわれたのは、なにも知(し)らないふたりのどろぼう。かまをぬすみだしますが、今日(きょう)のかまは重(おも)く、『グゥーッ!グゥーッ!』と音(おと)がします。「かまが、イビキをかきだした」と、おとうと分(ぶん)は言(い)いますが、「こすれた音だ」とあにきは言(い)うのです。しかし今度(こんど)は、『プゥーッ!』という音がして…。






礒 みゆき/作 はた こうしろう/絵 ポプラ社


 きつねは、えをかくのがだいすきです。さっきひろったチラシとクレヨンをポケットからとりだすと、えをかきはじめました。だけど、やまねこと、あひるは、「へんなの。」「きちんといろをぬらなくてはだめですよ。」といいます。そこできつねは、みんながおどろくような、もっとすごいえをかいてやろうとおもいました。でも、なにをかいても、みんながほめてくれるのか、しんぱいになり、たのしくえをかけなくなってしまいました。
 あるひ、うさぎとはなしをしていると、きつねは、『すごいもの』をみつけました。




        低学年から

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「リレー選手(せんしゅ)になりたい」

新井 けいこ/作 宮尾 和孝/絵 文研出版

 いたっ!学年(がくねん)で一番(いちばん)足が速(あしがはや)く、毎年(まいとし)運動会(うんどうかい)のリレー選手(せんしゅ)に選(えら)ばれていた勇斗(ゆうと)。選考会(せんこうかい)直前(ちょくぜん)で足にけがをしてしまった。とにかく、足の調子(ちょうし)を整(ととの)えなければと思(おも)っていたが、急(きゅう)に自信(じしん)がなくなり悩(なや)んだ結果(けっか)、欠場(けつじょう)することにした。
 いよいよ選考会。勇斗のかわりに選ばれたのは、走(はし)る練習(れんしゅう)を始(はじ)めたばかりの流星(りゅうせい)だった。くやしいと思っていると、春輝(はるき)と陽向(ひなた)は、流星がフライングしていたと言(い)いだし…。選考会の結果(けっか)で選ぶか、経験(けいけん)と実績(じっせき)で選ぶかクラスで話し合(はなしあ)うことになった。






最上 一平/作 ささめや ゆき/絵 新日本出版社

 山里(やまざと)にある握集落(にぎりしゅうらく)には老人(ろうじん)ばかりだ。子(こ)どもがひとりもおらず、一番(いちばん)若(わか)いのが五十代(ごじゅうだい)。その握集落に『地域(ちいき)おこし協力隊(きょうりょくたい)』の龍之介(りゅうのすけ)がやってきた。正真正銘(しょうしんしょうめい)のピカピカの青年(せいねん)で二十一歳(にじゅういっさい)だという。引っ越(ひっこ)していった秀彦(ひでひこ)の家(いえ)に住(す)むということで、みんなどんな人がやってくるのか楽(たの)しみで仕方(しかた)がなかった。一番にどんな青年か知(し)りたかった茂子(しげこ)は家の中(なか)のようすをうかがったが、なにやらアハハハという笑い声(わらいごえ)がする。犬猿の仲(けんえんのなか)のふきだった。「ぬけがけしやがって」と思(おも)った茂子は、勢(いきお)いにまかせて玄関(げんかん)の引戸(ひきど)を開(あ)けた。