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おすすめの本
 

No.752  令和5年10月

『ロバのスーコと旅をする』『グリーンランド』
高田 晃太郎/著  河出書房新社

 イラン、トルコ、モロッコ…。ロバが大好きな元・地方新聞記者の著者は、一人と一匹で辺境の地を歩いて旅します。
 のどかな旅路かと思いきや、警察に拘束されたり強盗に遭ったり、命の危険を感じることもしばしばです。しかしその一方で、たくさんの人たちが著者に食事を差し入れ、家に招き、ロバの面倒を見てくれます。人間不信に陥った時は、ひたすらロバを見つめて一日を過ごし、また一歩を踏み出すのです。
 現在もロバを連れて日本国内を旅している著者の、かつての旅の記録です。

(S.S)
高野 美野梨/著  藤原書店

 アメリカ大陸の東北部にあって世界地図の中でも目を引く大きな島、グリーンランド。面積は216万6千平方kmで日本の約6倍もあります。国土の83%は氷土となっており、南極大陸に次ぐ広さですが、伊万里市と同じくらいの約56,000人が住んでいます。
 この本は社会、民族、貿易、宗教、文化、植民地政策、国家、文学など様々な分野において複数の研究者が執筆した日本で初めての論集となります。
 2017年にはクヤータ地区がユネスコ世界文化遺産に認定され、2021年にはデンマークの植民地になって300年の節目を迎えています。そんなグリーンランドを知る貴重な一冊です。
   
(K.S)

『親を見送る喪のしごと』『これで死ぬ アウドドアに行く前に知っておきたい危険の事例集』
横森 理香/著  CCCメディアハウス

 親の死に際して、悲しみに浸っている暇もなくお葬式・法事・書類関係や遺品の整理と遺族がしなければならない「喪のしごと」は、めくるめく試練のようだったと著者は言っています。本書は、著者の経験と、大人女子たちの経験をもとに、これから、そして今渦中にある大人女子たちの助けになればと綴られています。専門家の知識も含めた、豆知識の情報も入って実務的です。知っておくと少し楽になり、故人のことを大切に考えて生きることを教えてくれる一冊です。

(Y.K)
羽根田 治/著  山と渓谷社

 『これで死ぬ』何とストレートなタイトルでしょう。本書では、野山や海や川などのアウトドアであとを絶たない事故について、すべって落ちて死ぬ、道に迷って死ぬ、風に飛ばされて死ぬ、疲れて死ぬ、助けようとして死ぬ、などなど自然の中に潜む様々な危険を事細かく並べ、実際に起きた事故を取り上げながら、どうすれば事故を防げるのか解説されます。
 アウトドアで絶対に死なないために、あらゆる危険性を知り安全を学ぶ一冊です。
(K.A)
『枝元なほみのめし炊き日記 ~人生なんとかなるレシピ~』『ぼっちな食卓』
枝元 なほみ/著  農山漁村文化協会

 食べることは、生きていくうえで一番大事なこと。だから、わたしは「めし炊き」が上手になったのだと、著者。生きる根っこにある“めし”さえあれば、あとは何とかなるのです!
 天候に左右される農業の未来を憂い、子ども食堂や大人食堂で腕を振るい、ままならない世の中に、考え込んだり落ち込んだり…。でも、“めし”さえあれば、謙虚にたくましく生きていけるのです。
 料理研究家が綴る、運を天に任せ、人生をなんとか乗り越える方法です。
(Y.N)
岩村 暢子/著  中央公論新社

 親子二代、三代同居などの大家族が減り、核家族化という現象が言われて久しい昨今。家族の形態はさらに多様化しており、その様子は家庭の食卓にも顕著に表れています。
 著者は、1998年から「食卓」を定点観測の場として、家庭での食事の在り方の調査を行い、同一家族の10年後、20年後を追跡しました。そこに見えてきたものは、自分の時間や気分、自分の好みを優先して生きる人々の姿。一家団欒の影も形もない現代の家族の実情を浮き彫りにしています。家族や家庭という言葉もその存在すらも、社会から無くなっていくのかもしれない、そんな怖さが潜んでいます。
(Y.O)