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おすすめの本
 

No.758  令和6年2月

『猫の日本史』『生まれ変わったらパリジェンヌになりたい』
桐野 作人、吉門 裕/著 戎光祥出版

 浮世絵にも描かれ、古くから人間の暮らしに溶け込んできた猫。記録を辿り、その歴史を紐解きます。
 可愛がられるあまり、亡くなってから戒名をつけられた戦国時代の猫や、はたまた瞳孔の大きさで時間が分かるとして、時計代わりに朝鮮出兵に同行した猫まで、その在り方は様々です。今話題の「源氏物語」にも猫が登場し、物語の中で大きな役割を果たしています。
 膨大な資料から猫と日本の歴史を知る一冊です。
(S.S)

淡谷 のり子/著 早川 茉莉/編 河出書房新社

 「ブルースの女王」と言われた歌手の淡谷のり子。国全体が軍事一色の第二次世界大戦の最中、恫喝されても、口紅を濃く引きハイヒールを決して脱ごうとせず、もんぺもはかない。「これは、私の戦闘準備。贅沢ではない」と覚悟と信念、プライドを持ってステージの上で歌う理由は、それまで彼女が歩んできた道のりにあります。彼女の生き方は、自分を信じて、目標に向かって努力していくすばらしさを私たちに教えてくれています。
(Y.K)

『索引 ~の歴史』『科学目線 上から、下から、ナナメから』
デニス・ダンカン/著 小野木 明恵/訳 光文社

 本の巻末に記載されている索引。すでに13世紀には登場しています。その種類は大きく2つあり、用語索引はアルファベット順(日本語では五十音順)に用語を並べ、ページを記したもの。主題索引はあるテーマの場所を示したものとに分かれます。過去の小説などにも様々な場面で索引が登場していて、単に時間の節約だけが目的ではなくなっています
 さらに現代では、グーグル検索にも索引の要素が含まれていることが紹介されています。
 索引を作った人々の努力が、私たちの読書を広げ、深くしてくれていることに改めて気付かされます。
(S.K)

元村 有希子/著 毎日新聞社

 20世紀は「科学の世紀」でした。原子の力をエネルギーに変え、コンピュータを発明し、抗生物質が人々を病から救いました。一方で環境破壊が進み、地球温暖化が暮らしを大きく変えてしまいました。その「負の遺産」を現代の大きな課題ととらえて、それらの問題を小さな範囲から解決に向けて動き出しているのが、21世紀のいまだ、と著者は言います。
 VUCA(変化が速く、不確かで、曖昧な)の時代にあっても、そうした人類の科学の力はこれからを生きる我々に、大きな希望を与えてくれる灯なのだと実感するエッセイです。
(Y.N)
『いい人すぎるよ図鑑』『福博街なか博物館』
明円 卓、佐々木 日菜、真子 千絵美/著 
PHP研究所

 本書は、言われてみれば身近にいるに違いない100人の「いい人」を、全ページちょっとシュールなイラストと共に解説する図鑑。
 いい人すぎると言われると損をしている気分にもなりますが、地味なことでも他者に優しくできる人がこの世の中にたくさんいると思うと不思議と勇気が沸いてきます。
 その「いい人」が自身と重なったり、あの人のことだと気が付いた時、きっと自分のことや周りのことが好きになり、平和な気持ちにさせられる一冊です。
(K.A)
角 敬之/著 海鳥社
 
 グルメやファッション、観光などで注目され、活気あふれる九州最大の都市・福岡。都市でありながら、自然にも恵まれ、古くから大陸との交易が盛んで、豊かな歴史と多様な文化が交錯した街でもあります。そんな福岡の街なかには、歴史を物語る史跡や歌碑をはじめ、ビルの前庭や公園には著名な作家たちのアート作品などが多く点在し、まさに街なかの博物館のよう。それらの設置の背景や作者などを調査し、その存在を本書で紹介しています。
 福岡の街なかを歩く時、周りを見渡してみてください。これまでと違った風景に出会うかもしれません。
(Y.O)