令和5年度1月号


『空の手』

 新井けいこ/著    偕成社

 空手に夢中だったソラこと奏楽。しかし頑張っても中々結果を出せず、上達しません。そして中学受験を言い訳にやめてしまいます。群を抜いて上手く、憧れだった遥人。彼も同じ中学に通っていることを偶然知りますが、空手をやめ、野球部に入部していました。奏楽もテニス部に入部しますが物足りない毎日をすごします。道場で過ごしてきた仲間たちの「黒帯になった」「昇段試験が―」という言葉や、共に頑張ってきた結花の試合を遥人と観戦したことで心を動かされ…。
 中学生になり、習い事を続けるかどうかを悩む今の年齢だからこそ、共感できるかもしれません。




 




『溺れながら、蹴り続けろ』

   水瀬さら/著  PHP研究所

 主人公のうららは、小学校時代に自分の好きなジャンルが同じだという男子と意気投合しましたが、中学生になり恥ずかしさに彼を拒絶して傷つけてしまいます。自分を装いながら、友達づきあいをしているうららにとって、小説を書いている間だけ、本来の自分を取り戻すことができます。名前を明かさず、小説サイトに「URARA」というペンネームで投稿しているのですが、実は、やってはいけないあるタブーを犯しています。誰にも気づかれないように心掛けていたつもりが、あの時に傷つけた彼はそのことに気づいていました。





『3年間ホケツだった僕が  ドイツでサッカー指導者になった話』

  中野吉之伴/著   理論社

 -うまくないから、ホケツだからといって
                                           サッカーをあきらめなきゃいけないなんてことはない―
 成績の良い人は、人に教えることも上手。そうではありません。これは、高校時代サッカー部に所属するもほとんど公式戦に出ることがなかった作者が、大好きなサッカーをあきらめずに、サッカーのライター兼、指導者になっていくお話です。苦い経験をしてきた作者だからこそ、うまくできない子供の気持ちがわかる。みんなが輝けるチームをめざす。同じ悩みを抱えているあなたにおすすめです。







『あなたを丸めこむ ずるい言葉』

  貴戸理恵/著  WAVE出版

「みんなでやることに意味がある」
「そんなこと思うなんておかしいよ」
「ノリ悪いね」
これらの言葉を言われたり、聞いたりしたことはありますか?これは同調圧力といって、周囲の人たちが「こうだろう」と期待するように行動させるために迫る圧力なのです。コミュニケーション能力を問われる今、この本の中にある「ずるい言葉」を客観的に見つめてみませんか?言葉を受ける側としては、その中でどう自分の意見を言えるかを考えることができます。そして、知らずに使っていたという人、いるかもしれません。






『悪口ってなんだろう』

 和泉悠/著   ちくまプリマー新書  

  悪口って楽しい!?集団で価値観を共有するため。笑いをとるため。自己欲求を満たすため。悪口はそういった場合に使用されます。傷つける言葉と分かっていて、なぜ無くならないのか。そして何気なく言う軽口と悪口の境界線は?あだ名、非難や批判はどうとらえるのか。など、しっかりと解説しています。一生つきまとう、この深いテーマをこの本で学んでみましょう。
タレントの武田鉄矢さんが毎日新聞の「話題の本」として紹介しています。