令和5年度5月号


『手で見る ぼくの世界は』

 樫崎 茜/著  くもん出版
 
 視覚障害をもった祐はこの春から視覚支援学校の中学1年生になりました。寄宿舎に入り仲間もできますが、小学校時代に仲の良かった双葉に会えていません。双葉はある事件をきっかけに家から外に出ることができなくなっていました。会いたいけれど、簡単に会いに行くことはできはい。歩行訓練や白杖(はくじょう)の練習など、目に障害をもった人は様々な努力をして日常生活を送っています。二人はまた心を通わせることができるのか?
改めて、日常に不自由を感じる人にどう手を差し伸べていけるのかを考えさせられる一冊です。



『ディス・イズ・マイ・トゥルース』

 
    ヤスミン・ラーマン/作 代田亜香子/訳         静山社 

 
 アマニの父親は有名な獣医師で、優しい母とかわいい弟がいる完璧な家族。そしてもう一人の主人公フーダもまた優しい養親からたくさんの愛情をもらい、素晴らしい家族。というのは表向きで、この二人は誰にも言えない重大な秘密を抱えています。「『助けて』と声を上げることは悪いことじゃない。」第三者は言います。この生活から逃げたい、でも知られたくない。
思春期の頃ならではの複雑な感情が、リアルに描写されています。読んでいて、今まさに自分がそこにいるような感覚になり、手に汗を握るような緊張感があります。




『もしも 恐竜と 話せたら』

  じゅえき太郎/絵 ペルズ/文  プレジデント社

 「好きな恐竜なに?」小さい頃「ほねほね」を読んでいたあなたなら当時の会話にこんな質問もあったかもしれませんが、中学生ではあんまり…ですよね。
恐竜の物語を書く小説家になりたい冬島君が、人類の大先輩である恐竜たちから、夢を叶え、好きなことをして生き残るためのヒントを学んでいきます。ティラノさんは自分の経験から「世の中は平等に不平等」という言葉を遺しました。なんだか名前は覚えられなくても、話は覚えられそうです。





『〈みんなと違う〉自分を大切にする方法』

 本田秀夫/著   KADOKAWA 
 

  自分に自信があると言う人は多くはありません。あなたは集団でいるときなど、人と自分を比べたことはありますか?様々な経験で、自分は人とは違うと悩んでいる人にぜひ読んでもらいたい一冊です。
周りが言う「普通」は何なのか?「普通」の人と思われているほうが無難??そんなことはありません。周りの「普通」についていけないと感じたら距離をとることも大事です。あなたの気持ちは、あなた自身のものです。自分を大切にするために、この本で自己分析してみましょう。




『英語で読める〈おおきな木〉』

 シェル・シルヴァスタイン/作  村上春樹/訳      あすなろ書房
 
   少年は木が大好き。いつも木と一緒でした。しかし時間がたつにつれ、離れることも多くなります。大人になった少年は木に悩みを打ち明け、木は自分の身を犠牲にしながらも少年を助け、それを幸せに感じていました。年をとっても「ぼうや」と呼ぶ木から愛情を感じます。
 その本なら小学生の時に読んだことがあるという人も多いでしょう。絵本は時間がたってまた読み直すと、違う見方ができます。文章は主に英語ですが、日本語訳も下にあります。自学ノートにも活用できそうです。