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おすすめの本
 

No.756  令和6年1月

『私たちの「ターシャ」を探して』『文庫旅館で待つ本は』
主婦と生活社/編  主婦と生活社

 アメリカの絵本作家であり、画家であり、人形作家であり、そしてガーデナー。多彩な顔をもつターシャ・デューダ―。そんなデューダ―の、19世紀風の暮らし方と、自由で飾らない生き方は、多くの女性たちに刺激と影響を与えました。
 この本は、憧れを形にした10人の女性のものがたり。自然を愛し、前向きに暮らしを楽しむ様子が紹介されています。
 ターシャからメッセージを感じ、そっと背中を押してくれる、そんな気持ちになる一冊です。
(Y.N)
名取 佐和子/著  筑摩書房

 戦前から続く海辺の老舗旅館・凧屋。その旅館の名物である「海老澤文庫」には、様々な名著が納められているとか。しかし、旅館の若女将は「わたし、本が読めない体質でして」と話します。本は読めないが鼻が利くと平然と語る彼女は「匂い」を以て本と人をつなぎ、縁を育て、迷える旅人の導きとなる。そんな不思議な雰囲気が読み手を引き付け、心に語り掛けてくるような連作短編集となっております。
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『絵本龍潭譚』『見知らぬイタリアを探して』
泉 鏡花/さく 中川 学/ゑ  国書刊行会

 ―春の夕暮れ、母を亡くしてすぐの少年が夢のような世界に迷い込み、母のような怪しく美しい女と過ごしたあと元の世界に戻るが、「きつね憑き」して忌み嫌われてしまう。―
 泉鏡花が明治29年に発表した怪しくも美しい幻想小説に新しいイラストを添えた絵本です。美しい躑躅が丘、隠れ鬼をする怪しい子どもたち、跋扈する魔物、妖艶な女、優しい姉、一夜の嵐で沼になってしまう谷。幻想的な世界がイラストで彩られます。
 また、文章も「行く方も躑躅なり。来し方も躑躅なり。山土のいろもあかく見えたる」など旧仮名旧漢字、文語体で流れるように綴られています。声に出して読むことで文章の美しさが一層引き立ちます。ぜひ音読を。
(Y.M)
内田 洋子/著  小学館

 イタリアを行き来し40余年の著者。日々の中で様々な視点から、イタリアについて発信してきました。本書は著者が感じたイタリアの色をテーマに描いたエッセイです。紫、緑、灰、オレンジ、銀。不運を招く色や、新しい命を連れてくるエネルギーが満ちる色など15色について描かれます。
 様々な場所で出会う人々の暮らしは、時には厳しい現実が待ち受けます。長年暮らしても目に見えない壁を感じ、どれだけ言語を習得し文化や習慣を学んでも、異教徒の自分はずっと「異者」のままなのを思い知るという著者。一つの国、その国の人々を知るということを改めて考えます。
(.)
『ツレが「ひと」ではなかった』『緑茶はすごい!』
川森 博司/著  淡交社 

 「つるの恩返し」のように、人間と人間以外のモノが結婚したら、その結末は不幸なのか、それとも…。
 この本は、人間と人間以外の存在が結婚する言い伝えを「異類婚姻譚」と銘打ち、全国や世界各地から収集し研究したものです。日本の昔話とほぼ同じ内容であっても、伝わる国や地域によって結末が異なる場合もあり、そのバリエーションの多さに驚かされます。
 「竹取物語」や「美女と野獣」、「崖の上のポニョ」まで、幅広い異類婚姻譚が楽しめる一冊です。
 (S.S) 
中村 順行、海野 けい子/監修  中央公論新社
 
 古代中国から伝わったお茶は、当初僧侶や貴族階級など限られた人々のためのものでした。やがて、茶道の確立や茶の製法開発により庶民へと広がり、現代では缶やペットボトル入りなど手軽に飲めるものとなりました。日本人にとっては古くから身近な飲料として親しんできた緑茶が、日本食ブームや健康志向により今や世界でも注目されています。そんな緑茶の魅力が凝縮された一冊です。体だけでなく心の問題や老化抑制にも効果を持つ緑茶に改めて注目し、知識を身につけて、暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか。
(Y.O)