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池田龍雄と伊万里市民図書館


 元特攻隊員で、戦後一貫して反戦・反権力の立場で前衛芸術に打ち込まれ「アヴァンギャルドの旗手」と呼ばれた、画家の池田龍雄さん(1928~2020)は伊万里市二里町の出身です。
 池田さんは出撃直前に終戦を迎えられた後、国や社会の急激な変化に戸惑い悩まれた末、人に左右されない生き方を文化や芸術に求められました。今年の9月から10月にかけて佐賀県立美術館40周年特別展として開催された「あそび、たたかうアーティスト池田龍雄」には奇抜な作風で見る人に強烈な印象を与える多くの作品が、絵画にとどまらず多様なオブジェ(立体作品)とともに展示されました。人の心を自由にする「あそび」である芸術を、厳しい生活との「たたかい」の中で生み出そうとされた、一人の芸術家の生きざまが圧倒的な熱量で迫ってきました。
 また、展示会場には絵本『ないたあかおに』など児童画のコーナーが設けられていました。そこに展示されていたのは、前衛的な創作活動の傍ら、生活のために描いたと言われる挿絵の原画でした。そのほとんどは、2000年から2001年にかけて伊万里市民図書館に寄贈された276枚の作品です。原画とともに池田さんからいただいた手紙の中には、次のような一節がありました。「挿絵を描くにあたっては、絵は物語を語ってくれるし、読んだ人に創造の輪を広げてくれます。だから、一枚の絵を描くときも物語を何度も読みこんで真摯に向き合いました。」生活のためと言いながら、子どもに夢を届けようとされたのは、紛れもない事実です。図書館で大切に保管していますので、機会があればまた展示したいと考えています。
 後年、市民図書館を訪ねてこられた池田さんは「図書館も文化ですね。自由に情報が得られ、自由にものを考えることができる。子ども達も楽しそうです。」とおっしゃっていただきました。自由を愛し、自由を求めたこの言葉も、市民図書館の貴重な宝です。
 

                                                                                                                                                                        館長 鴻上 哲也
                     

 


池田龍雄/画
『動物たちの絵』 (タイトル不明)



池田龍雄/画 
『幼年民話 おばけばなし』



 
  
 
   



 

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第8回 図書館を使った調べる学習コンクール地域コンクール
              作品展示会のお知らせ


 11月25日(土)~12月10日(日) 場所:企画展示室

 今年も『伊万里市民図書館・学校図書館を使った調べる学習コンクール』を行いました。小学生の部に64点(低学年7点、中学年35点、高学年22点 )の応募があり、よく調べ上げた力作がたくさん集まりました。その全作品を図書館に展示します。こどもたちの素晴らしい作品をぜひ見にきてください。


 

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市民図書館のアウトリーチサービス
     (外に飛び出す)

 

<第8回 二里小学校> 

 市民図書館では学校図書館や保育園・幼稚園・認定こども園の支援として、本の貸出だけでなく、先生方から本に関する相談に応じたり、それに伴う作業が必要な時は協力したり、こどもたちが利用しやすい図書室の環境整備のサポートをしています。
 昨年から、二里小学校の図書室を度々訪問して、本のラベルの貼り方一つから話し合いました。こどもたちが少しでも早く目的の本にたどりつけるような配置を心がけ、時には小学校の先生方の協力を受けながら、夏休み明けの新学期に間に合わせました。配置が変化したことで、普段目にしていなかった本を発見してもらえることを願っています。


      


     

              
        
    
■配置のほかにも使いやすく、ワクワクする展示コーナーも作りました。(写真:二里小学校図書室)