令和5年度2月号


『ココロノナカノノノ』

 戸森しるこ/著    光村書店

 中学生の寧音(ねね)は、双子で生まれるはずだった妹の野乃(のの)を特別な存在として、心の中で思い続けています。彼女はいつも野乃に声をかけ、支えとしていますが、自分だけが生まれてきたことにずっと負い目を感じていました。「私だけが愛されて、私だけが幸せになってもいいの?私ではなく野乃が生まれればよかった」そんな葛藤の中、母である奈菜ちゃんから、新しい妹ができると教えられます。新しい命の誕生と、中学生の思春期真っただ中、友達だと思っていた男の子との関係にも変化が見られ、彼女の心はどう変化していくでしょうか。




 




『フォグ 霧の色をしたオオカミ』

  マルタ・パラッツェージ/作 杉本あり/訳     岩崎書店

 19世紀のロンドン。ストリートチルドレンであるクレイの住むこの町に、サーカス団がやってきます。サーカスのチラシには「イギリスに生存する最後のオオカミ」と書かれてあり、クレイは「オオカミ」という存在に心をおどらせます。どうしても見てみたいという気持ちからテントに入ってみると・・・。檻に入れられた動物たち。芸をさせるには虐待もあります。そんな彼らを見たクレイは、泥をあさって生活する自分自身と重ねます。オオカミのフォグにできることは何か、そう思った彼はある行動をおこします。





『遠くの人と手をつなぐ SOSの届け方』

  千葉 望/著           理論社  

 「こども食堂」と聞いてどんな想像をしますか?子供たちに食事の支援をする場所のその先に、家庭の事情で1日に3食も食べられない子供の存在があります。他にも放課後に学習支援をしてくれる施設があったり、心の内を相談できる場所があったり。生きづらい子供たちにとって、様々な大人の手があります。家でも学校でもない場所で、自分に寄り添ってくれる、話を聞いてくれる人がいれば、何通りもの自分の生き方が見えてくる。この本を通じて、支援している人たちの存在と思いを知って、そして自分の身近にもあるか探してみてください。図書館もその一つです。







『スマホアプリはなぜ無料?10代からのマーケティング入門』

  松本健太郎/著  河出書房新社

スマホアプリをダウンロードする時、大半は無料です。1円も使ってないのにゲームができる。メッセージが送れる。投稿できる。無料サービスを提供している企業はどうやってお金を稼いでいるのでしょう。TikTokを提供する企業「バイトダンス」の年間売り上げは11兆2000億円と言われています。誰がお金を払っているの???それは・・・。ヒントは画面にいつも張り付いてくるアレです。市場の需要と供給の仕組みや、お金の使われ方について知ると、少しだけ世の中の流れがつかめるかもしれません。





『美術の進路相談』

 イトウハジメ/著    ポプラ社
  ―絵の価値は不安定で 食べていくのは難しい―
絵を描くことが大好きな人にとって、「画家」や「漫画家」、最近では「絵師」に憧れた人はいるはずです。得意なことを自分の仕事にする場合、第一線で主役として働いている人は本当に一握りです。でも視野を広げれば美術を続けられる場所はあります。このまま描き続けていいのかと将来に不安を抱えた人、美術に絡めた様々な仕事を知れば、自分が目指しているものや、自分ならできそうと思えるものが見つかるかもしれません。