令和6年度4月号


『ケモノたちがはしる道』

 黒川裕子/著   静山社

   いわゆる「イマドキ」の女子中学生の千里は、パックに入った羽のついた手羽先を「気持ち悪い」と感じてしまいました。そんな千里を見かねた母親は、自分の故郷である熊本県に行くことを提案します。実際にケモノを獲り、その後の処理などを経験することで千里は「命」の重みを知ります。熊本の山ばかりの田舎に住む祖父はまさに「ひごもっこす」。がんこ者という意味です。そんな祖父や地元の人たちと関わり、猪太郎との出会い。めぐるいのちの熱さを手のひらの上で感じた経験は彼女の心を大きく変えていきます。



 




『〈きもち〉がいちばん好きなもの』

 ティナ・オジェヴィッツ/文  アレクサンドラ・ザヨンツ/絵 
 森 絵都/訳

 こいしさ〉は〈かなしみ〉〈やさしさ〉といる時間が好き。〈びびり〉は〈好奇心〉と仲良し。〈勇気〉には〈信頼〉という兄がいます。私たちの中にある、言葉にできない感情や整理できない気持ちたちに居場所を作ってくれるような、不思議なお話たちです。『〈きもち〉はなにをしているの?』の作者が贈る第二弾。翻訳は前回と同じく『カラフル』でおなじみの森絵都さんです。ぜひ今の自分の気持ちに寄り添う言葉を見つけてみてください。




『平安のステキな!女性作家たち』

  川村 裕子/著    岩波ジュニア新書

 今、大河ドラマ『光る君へ』の影響で源氏物語や平安時代にスポットが当てられています。みなさんも聞いたことがある『源氏物語』『枕草子』を書いた紫式部や清少納言はどんな人物だったのか、女性作家はどのような生活を送っていたのか、よく知らない人でもわかりやすい内容になっています。物語を横に置いて作家のエピソードを読むと、答え合わせのようでさらに楽しめそうです。1000年も前の女性たちですが、彼女たちの楽しく、たくましく、腹黒く生きる姿は現代の私たちにも共通する点が多く、とても親近感がわきます。






『14歳からの映画ガイド 世界の見え方が変わる100本』

  河出書房新社/編   河出書房新社

    配信サービスやサブスクリプションが主流になり、スマホや自宅で手軽に映画が観られる世の中になりました。そして自分が観たものからAI が勝手に解析しておすすめしてくれます。便利ですがあまり自分の世界は広がりません。この本では作家から精神科医までの25人が、その年齢だからこそ見てほしい映画を紹介し、見どころやポイントをわかりやすく解説しています。全部で100作品!お休みの日に挑戦してみませんか?
さらに、シネコン・ミニシアターなどの違いや楽しみ方もわかります。趣味が「映画鑑賞」と言えると、かっこいいかも…。





『勉強ができる子は 何が違うのか』

 榎本博明/著    ちくまプリマー新書

  勉強時間はだれにも負けないのになぜ私は成績が上がらないのか?」試験の何週間も前から対策を考え、ずっと頑張って勉強してきたのに、思うように点数が取れなかった経験を持つ人に読んでほしい1冊です。1番を取る人と自分の差は何なのか?キーワードは「メタ認知」です。平たく言えば、認知について認知するということです。間違いに気づき、なぜ間違えたのかという疑問を自分で解決し、自己分析ができる。そんな人がミスに強く、成績が良くなるそうです。この本で自己を知り、とことんミスを解決する忍耐力を身に着けてみませんか。