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おすすめの本


No.609 平成29年7月


『パーマネント神喜劇』『MM』
万城目 学/著 新潮社市川 拓司/著 小学館
 『苦しい時の神頼み』とは、よく言ったもので、いつも見慣れた近所のお寺や神社、出かけた先の古ぼけた神社でも、見かけたらふと手をあわせたくなる時がありませんか?「きくはずないよね」という思いの一方で「もしかしたら・・・」という思いを込めて。
 その一方、願いをかけられた神様は、その願い事をどうやって叶えてくれるのでしょうか?
 いつもより、念入りに神頼みをしたくなる物語です。
 (A.U)


 『いま、会いにゆきます』で大ベストセラーになった市川拓司さんの純愛小説です。
 映画の脚本家を目指す佐々次郎(ジロ)は本屋で南川桃(モモ)から声を掛けられます。そこからジロとモモの中学三年生の夏の物語が始まります。
 転校生のモモはクラスの中でも頂点にいるような女の子で、ジロは同じクラスにいても興味も接点もありませんでした。そんな彼女から頼まれたのは、モモの伝記を書くことでした。伝記を書くためのインタビューを重ねていく内に、本当のモモを知り惹かれていきます。モモがジロに伝記を頼んだ理由とは?    
(O.T)



『母ではなくて、親になる』 『残したい手しごと 日本の染織』
山﨑 ナオコーラ/著 河出書房新社 片柳 草生/著 世界文化社
 結婚後、夫の世話を焼くことに喜びを感じ、それなら「子どもの世話もきっとできると思った」という著者。そして妊娠中、母親だからと気負わないで過ごせば、世間で言われている「母親のつらさ」を案外味わわずにすむかもしれないと、「母ではなくて、親になろう」と決めたのです。
 この本には、著者の妊活から帝王切開での出産、そして、子育てについて、ありのままが語られています。彼女ならではの面白い発想に思わず笑ったり、共感したり。子育てを経験したことがある人も、子育て未経験の人も楽しく読めるエッセイです。
 (R.K)


 身近にある草や木から繊維をつないで糸をつくり、織り上げて一枚の布へ。本書は日本各地の布仕事を紹介します。沖縄の植物、芭蕉から繊維を取り出す芭蕉布は繊維を採る葉に育てるまでに3年、真綿から糸を紡ぐ結城紬では着物一反分の糸を紡ぐのに2ヶ月半もかかります。
 それぞれに地域に根ざした伝統の方法で、糸にする、布にする、染め上げるなど、完成するまでにいくつもの工程を重ねるのはどの反物も同じです。多くの手が関わって仕上げられる一反。光沢、艶、陰影など、ぜひ布そのものの美しさを感じてください。
 (Y.M)



 『桶狭間の四人 光秀の逆転』 『潮谷義子聞き書き 命を愛する』
鈴木 輝一郎/著 毎日新聞出版 潮谷 義子/述 一瀬 文秀/著  西日本新聞社
 桶狭間の合戦が始まる少し前、今川領三河岡崎城にて。この日、城主松平元康(家康)と牢人明智光秀、そして織田家の木下藤吉郎(秀吉)の3人が集 まり秘密の話をしていた。
 そんな中、敵方のこの城に織田信長が突如姿を現わし、驚く3人を前に「今川をとめろ」と言い放つ。
 だが、家康は今川方、光秀はただの牢人、そして秀吉は出世に不満があり裏切りを考えている始末。むしろ全員、織田家は滅亡してほしいとさえ思っている。そんな思惑とは裏腹に、勝手気ままに動く信長に巻き込まれた3人の運命はいかに。
 (Y.E)


 2000年から8年間熊本県知事を務めた潮谷義子さんが、自身の半生を綴った自伝です。
 佐賀市の小さな八百屋さんに生まれ、元気いっぱいで「金太郎」と呼ばれていた子ども時代から、社会福祉を学ぶために東京の大学に進学した頃、佐賀県庁で社会福祉主事として働いていた時期、そして熊本県知事に至るまで、一貫していたのは「困っている人のために力を尽くす」ということでした。
 水俣病問題で、患者の側に立ちたい個人の思いと国の政策のはざまで苦しんだ時期の本音を語っている場面がとても印象的です。
 (N.K)


 

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