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おすすめの本
 

No.650 平成31年4月

『マリコを止めるな!』『駒山の鷹 小説・中原市五郎』
林 真理子/著  文藝春秋

 人の不幸は蜜の味とはよく言ったもので、一部で批判の声もありながらもテレビで続く不倫報道。また、昨年問題となった著者の母校である日大のタックル問題など、その時話題になった出来事に著者が思うことを綴っています。週刊文春で連載を続ける人気のエッセイの単行本化第32弾です。
 時事問題には時に辛口に、愛する本屋さん閉店の話題には、その悲しみを言葉に乗せる。著者の今の気持ちを読者に対して素直に伝え続けます。
     
(A.U)
片岡 繁男/著  日本歯科新聞社 

 日本歯科大学創立者、中原市五郎の人生は、平坦なものではありませんでした・・・。
 日本の歯科技術向上と歯科教育という志を胸に、ほとばしる情熱と熱い使命に燃えて突き進む主人公。立ち止まったり曲がったりしながらも、「この道をこそ」と心に決め、夢をかなえていく姿が、いきいきと描かれています。
 愛郷の詩人、片岡繁男さんの小説が蘇り、増補改訂されました。この本は、日本歯科界の開拓者、中原市五郎の人間味が伝わる伝記小説です。 
(Y.N)
『この世界は思ってたほどうまくいかないみたいだ』
『いつも心に樹木希林』
新井 見枝香/著  秀和システム

 書店員として働く著者は、型破りな販売方法で本を売り、芥川賞・直木賞と同日に発表される『新井賞』を独自に創設させるなど、出版業界や多くの有名作家から今最も注目されている“カリスマ書店員”です。
 3冊目のエッセイとなる本作は、本の事以外にも普段彼女の周りで起こった出来事が綴られているのですが、彼女のセンスのいい言葉選びで、何気ない文章がぐっと面白おかしくなり、思わず笑いだしてしまいそうになります。
 なぜ彼女が今注目され、本好きの方から共感を得ているのかが分かる一冊となっています。
   
  (Y.U)
キネマ旬報社

 昨年9月に帰らぬ人となった樹木希林さん。第二次世界大戦の真っ最中に生を受けた彼女は、18歳で文学座の付属演劇研究所へ入所し、女優人生がスタートします。最初の芸名は、父親がつけた「悠木千帆」。その後、1970年代に芸名をオークションにかけて売却、自分自身で命名した「樹木希林」に改名したのです。
 この本には、これまでのインタビューで彼女が語ったことや、生前、彼女と親交のあった仲間たちから寄せられた文章が多数掲載されています。女優としての生き様が伝わってくるとともに、彼女のプライベートをも垣間見ることができます。
(R.K)
『Going 婆ぁ way』『イシイカナコが笑うなら』
門野 晴子/著  静岡新聞社

 学校教育と子どもの問題や高齢者福祉の問題、最近では発達障害についての著述に携わっている著者は、エッセー講座や話し方講座などの講師も務める、とてもパワフルな80代です。
 4年前から熱海のケアハウスで暮らし、そこで目にした光景や困った問題などを取り上げ、自身の人生をふりかえりつつ、老いや女性の生き方について本書に綴っています。
 歯に衣着せぬ物言いが軽快で刺激的でもありますが、ユーモアもたっぷり詰まった一冊です。
 (Y.O)


      
額賀 澪/著  KADOKAWA

 自身が卒業した高校に赴任することになった教師・菅野京平。その学校には都市伝説があり、生徒が言うには「夜になると学校にイシイカナコの幽霊が出る」とのこと。しかし、その女性の名は、自ら命を絶った彼の元クラスメイトと同じ名前でした。
 高校時代を思い返しながら、イシイカナコと共に過ごした教室へ向かう彼。すると背後から聞き覚えのある声が聞こえ、気が付くと菅野は高校時代にタイムスリップしていました。そこには若かりし頃の菅野と生きているイシイカナコの姿が…。学生時代に戻り、イシイカナコの「人生やり直し事業」に参加することになった彼は、2度目の高校生活を送ることになるのですが…。

(A.K)