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おすすめの本
 

No.634 平成30年8月

『日本の美徳』『琴乃木山荘の不思議事件簿』
瀬戸内 寂聴  ドナルド・キーン/著
中央公論新社

 アメリカで生まれながら、偶然『源氏物語』と出会いそのすばらしさに感動してから、日本文学を学び続けている人。文学が好きで、どうしても作家になりたくて一度すべてを捨てた人。
 どちらも思い入れの多い源氏物語から、交流のあった昭和の文豪たちとの思い出などを綴っています。文学に造詣の深い二人だからこそ語り合える会話は大変興味が深く、特に川端のノーベル文学賞受賞に関する裏話は歴史の残酷さを感じずにはいられません。
 共に96歳という高齢でありながら、いまだに文学への情熱を失わない二人が、いろいろな日本を語りつくします。
(A.U)


大倉 崇裕/著 山と渓谷社

 標高2200mにある大型山荘『琴乃木山荘』でアルバイトとして働く絵里。彼女は、山荘の目の前にそびえ立つ、標高2750mの『竜頭岳』と山荘で起こる不思議な事件の真相に、山荘のオーナーやベテランアルバイト石飛らとともに挑みます。
 夜中に林を浮遊する人魂の正体。密室状態の離れで発見された謎の遭難者。閉鎖された山小屋の駐車場で起こった、無人の車が移動する謎。7年前に福島県の山で失踪した男と、石飛の関係。そして、山荘へ来る前に起こった絵里の辛く悲しい過去とは…。彼女たちは、次々に起こる7つの事件と謎を見事解決に導き、山荘や登山客を危険から守ることができるのでしょうか。
(Y.U)


『スケルトン・キー』
『今すぐ食べたい!すごい缶詰150』
道尾 秀介/著 KADOKAWA

 錠也は生まれてすぐに親を亡くし、腫物のように扱われながら施設で育ちました。悶々とした毎日を送っていた時、同じ施設で暮らす少女から聞いた「あなたみたいな人はサイコパスっていうのよ」という言葉。19歳になった現在も、その言葉を内に秘めながら暮らす彼は、週刊誌記者の危険な仕事を請け負うことでスリルを味わい、狂気を抑え込むようになっていました。
 ある日、彼のもとに施設での友人・順平から連絡が来ます。そして、告げられたのは、錠也の母親は順平の父親に殺されたかもしれないということでした。その瞬間、今まで秘められていた「もう一人の自分」が動き出し、周囲を壊し始めますが…。
(A.K)


イカロスMOOK  イカロス出版

 近年、栄養豊富で美容や健康に良いとして鯖缶が注目されています。また、ツナ缶などは缶詰食品の代表として長く親しまれています。しかしながら、最近の缶詰食品はもっと進化していたのです!
 ジビエ料理の猪肉や鹿肉から、珍食系缶詰のザリガニやイナゴまで…。珍しい原材料や、写真映えしそうなパッケージの面白さに注目したもの、超高級缶詰などなど。紹介されている缶詰一つひとつに、お問い合わせ先も掲載されているので、食べてみたくなったら直ぐ取り寄せ可能!缶詰が発明されてからの200年の歴史と美味しさがギュッと詰まった一冊です。世界一臭い缶詰、食べてみたくありませんか?
(M.T)


『ぞぞのむこ』『清らかな、世界の果てで』
井上 宮/著 光文社

 不可思議な町・獏市。大多数の人は何事もなく日常的に行き来しているが、その町に足を踏み入れたがために凶運に見舞われてしまう人も。
 会社員の島本もその一人。取引先に急ぐ途中、電車を間違えたため獏市を通ることになってしまったのだ。直後には幸運が舞い込んできたが、ある女をきっかけに次々に不運が彼を襲っていく…。
 獏市を舞台にした表題作などの5編が収められており、読み進めるうちに意味不明なタイトルの謎が明らかになっていく。
(R.K)


北里 紗月/著 講談社

 「皮膚の下を小さな虫が這っている」と訴えながら亡くなった妹の友人の父のことを調べることになった直哉と天才毒物研究者の由紀。また他にも、線路事故で亡くなった男性の体内からも寄生虫が発見されたことにより、さらに謎が深まる医療ミステリー。
 事件を追っている最中、妹若菜も寄生虫に冒されてしまう。誰が何のために寄生虫に感染させたのか、妹の命は救えるのか、目まぐるしく変わる展開に目が離せません。『清らかな…』というタイトルと、純粋無垢な少女の表紙からは想像もつかないストーリーに注目の一冊です。
(T.H)