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おすすめの本
 

No.661 平成31年9月

『孤絶 家族内事件』『この道をどこまでも行くんだ』
読売新聞社会部/編  中央公論新社 

 介護を苦にした心中、わが子のひきこもにりに悩んだ親の事件、幼い子どもへの虐待など家族内で起こる事件が増えています。この本ではそうした事件を掘り起こし、当事者とその家族や隣人、可能な限りの関係者に取材し事件に至る経緯や境遇、心情を語ってもらっています。
 事件に至ったのは一握りであり、多くの家族は様々な問題に耐え忍びながら解決策を模索し続けているのです。
 「同じ悲劇を繰り返させない」、その手がかりを示したいという思いで書かれたノンフィクションです。
(N.K)

椎名 誠/著  新日本出版社

 日本のみならず、世界中のいろいろな場所を旅してきた椎名さん。旅先で見たもの、食べたもの、思ったことなどを数々のエッセイに著しています。
 「踊る」「食べる」「捕る」「底力」などのテーマにあわせて、それぞれ何篇かの短いエッセイが集められており、椎名さん流の軽妙な言い回しは、時には笑いを誘い、もっと読みたいという気持ちを駆り立てます。一篇一篇は短くあっさりと読めます。あとがきでは、椎名さんも「気軽に読んでください」と述べています。どうぞ気軽に読んで、楽しんでください。
(A.K)

『日本のヤバい女の子~静かなる抵抗~』

『虹にすわる』
はらだ 有彩/著  柏書房

 むかしむかしの物語で登場してくる女子たち。物語が終わるまで冷静に読み直すと、「大変な目にあわせられて」と思う女子たちが勢ぞろい。
 物語は「完」となっていますが、その中の女子たちは自分の身に起きた理不尽な出来事を素直に受け止めてきたのか?という発想からこの本が生まれました。
 千年前の女子たちの怒りや嘆き、それをパワフルに乗り越えてきた頼もしくてヤバい女子たちが、現代の私たちにも共感できるところもあり、読むと元気を与えてくれ、古典文学を読むのが楽しくなるエッセイ集です。

(A.U)
瀧羽 麻子/著  幻冬舎

 祖父が十年ほど前に始めた修理屋を手伝っている徳井。一度は東京で就職したものの、地元に帰ってきた彼のもとに、大学時代の後輩・魚住が突然転がり込んできました。魚住は「二人で椅子工房をやる」という十年前の約束が忘れられずにいるのです。
 椅子作りの才能を持ちながらも工房をやることに消極的な徳井。そして、才能はそれほどでもないけれど椅子作りへのあふれる情熱を持ち続ける魚住。タイプの違う二人の男性がお互いを補い合いながらオーダーメイドの椅子作りに奮闘します。

(R.K)
『わたしも、昔は子どもでした』『大切な親に、これなら「決心」させられる!免許返納セラピー』
『子どものしあわせ』編集部/編  かもがわ出版

 あなたは子ども時代を人に語るとしたらどんなことを思い出しますか。
 本書には、医師、天文学者、絵本作家、漫画家、弁護士など17人の大人たちが子ども時代を振り返り、実体験をもとに子どもにとって大切なことは何かを語っています。
 黙々と働く父や母の姿、励ましてくれた祖母の言葉、迷いから一歩を踏み出す後押しをしてくれた学校の先生の存在など、17人の人生に大きな影響を与えました。
 子どもを取り巻く環境や人との係りを考えて、子どもを育むことが大人の大切な役目だと感じます。

                (Y.O)
志堂寺 和則/監修  講談社

 高齢ドライバーの親を持つ方にとって、「運転免許の自主返納」は悩みごとの一つになっています。そんな場面を迎えた方にお薦めしたいのがこの本。
 報道される高齢ドライバーの交通事故から、早期返納を勧める意見と、それができない生活環境の実態とが対立しますが、大切な親は被害者にも加害者にもしたくないものです。
 そこで、冒頭の「自主返納ロードマップ」を見ると、場面ごとの行動が示されています。親の運転レベルをチェックしたり、「家族みんなの問題」と捉え、役割分担して説得の準備を行ったりします。さらには返納後のお祝い等、様々なフォローを行った例も紹介されています。家族ごとに事情は異なるでしょうが、状況に合ったやり方が見つかることでしょう。

                   (K.S)