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おすすめの本
 

No.656 平成31年7月

『むらさきのスカートの女』『綾峰音楽堂殺人事件』
今村 夏子/著  朝日新聞出版

 近所に住む「むらさきのスカートの女」。週に一度、商店街や公園に姿を現し、大人だけでなく、子どもたちにもその存在を知られているという知名度のある人物です。そんな彼女のことが気になって仕方ない〈わたし〉はさしずめ「黄色いカーディガンの女」。ずいぶん長いこと彼女と友達になりたいと思っている〈わたし〉は、どうやったら友だちになれるのか考えてばかり。彼女の家も調査済みで、勤め先がコロコロ変わることも知っています。そこで、自分と同じ職場で彼女が働けるように誘導しようと試みるのですが…。 
  はたして、〈わたし〉のとった作戦は成功となるのでしょうか。
(R.K)
藤谷 治/著  ポプラ社

 著名な英文学教授であり、最近は音楽評論家として有名になった討木氏は、綾峰県にある綾峰フィルの顧問として、オーケストラの立て直しに協力していました。 しかし、綾峰フィルの本拠地である綾峰音楽堂の取り壊しが決まり、それにともない綾峰フィルも解散となり、最後の演奏会が開かれることになりました。 ところが、その演奏会の最中に殺人事件が発生。殺された人物は音楽堂解体へと綾峰の世論を扇動した人物だったのです。
 討木氏に呼ばれて演奏会にやってきていた作家の私は、討木氏と事件の真相を追うことに。
 果たして真の事件の真相とは?
(A.U)

『方形の円 偽説・都市生成論』

『僕とぼく』
ギョルゲ・ササルマン/著  東京創元社

 自由な都市を創るため、人を集め土地の耕し方を教え、理想の社会だと確信して去った指導者が数百年後に戻った時に見た驚愕の光景とは?
 格差市、海中市、宇宙市など全部で36もの都市がそれぞれ生まれ、そして崩壊していく過程が歴史書のように語られます。おもしろいのは、タイトルに偽説とあるようにこの都市がすべて架空に作られた都市であるということ。
 ありったけのリアリティをもって架空都市の歴史を読み進めているうちに「ほんとうとはなんなのか」という根源的な問いに対峙させられます。
(Y.M)
川名 壮志/著  新潮社

 1992年、家族にとって初めての女の子の誕生に皆が喜び、生まれながらに家族のアイドルとなったさっちゃん。しかし12年後、小学6年生となった少女は思いもよらない形で命を奪われました。
 佐世保で起こった同級生殺害事件から15年。遺族となった兄二人は、それぞれが何もできなかった自分を責め、もがき苦しみ続けてきました。そして悲しみを背負いつつ、自身の新たな生き方を見出します。
 そんな二人の姿が克明に描かれ、遺族の生の声が聞こえてきます。
(Y.O)
『美しき愚かものたちのタブロー』『シニアのための防災手帖』
原田 マハ/著  文藝春秋

 こよなく絵画(タブロー)を愛した実業家の松方幸次郎は、第一次大戦中ロンドンやパリで、莫大な私財を投じ、数多くの西洋美術作品を買い集めます。その目的は、欧米に負けない美術館を日本に作り、若者たちに本物の西洋美術に触れてもらうことでした。しかし、関東大震災や第二次世界大戦の際、多くの作品が火災による焼失や行方不明という運命を辿ります。戦後、行方がわからなくなっていた作品が発見されたと、保管しているフランス政府側から松方の家族のもとに連絡が入るのですが…。
 今年で創立六十周年を迎える国立西洋美術館誕生までの軌跡について、史実に基づき書かれた物語です。        
(Y.U)
三平 洵/監修  産業編集センター

 地震、台風や大雨など、実は私たちは災害と隣り合わせに暮らしていると言っても過言ではありません。また、大規模災害での犠牲者の大半は、60歳以上に集中していると言われています。
 災害に出会う前の心構えから、災害が発生したときの身の安全の図り方や、その後の生活の仕方・心のケアの方法まで、シニアに寄り添った形で、被災経験談も含めて説明されています。
 シニアの方ご自身で読むのは勿論、ご家族やシニア世代に係わっている専門職の方が読むのもお勧めです。
   いざというときの為に何を準備すれば良いのか、日常生活を見直すきっかけを与えてくれます。
(A.K)