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おすすめの本
 

No.642 平成30年12月

にゃんこ天国 猫のエッセイアンソロジー』『救済』

 阿部 昭/他著  河出書房新社

 

 谷崎潤一郎や夏目漱石、村上春樹など、猫をこよなく愛する作家が、猫について書いたエッセイを集めた1冊です。

  『100万回生きたねこ』の作者である佐野洋子さんは、ガンに侵された愛猫フネとの残り少ない最期の日々を綴っており、絵本の内容と通ずるようなところもあって、“死”や“この世を去る時”について考えさせられます。

 どの作家も観察眼が鋭く、猫に対する深い愛からエッセイ集なのに猫の生態がわかる図鑑なのかと思うほど、どのページからも深い猫愛が感じられ、猫好きの方にはたまらない内容となっています。

(Y.U)

 長岡 弘樹/著  講談社

 

 大きな地震があった後、漬物屋の仕事を辞めた青年・宮津勇司。当初は被災によるショックから仕事を辞めたと思われていましたが、実は別の理由があった彼。新しい職場も、とある事情からクビを言い渡されてしまいます。そんな時、以前の上司だった五十嵐に声を掛けられ漬物屋に復帰することに。勤務初日、3人の工程長たちに業務を教わりますが、それは地震の日に起きたある事件の真相を探るためでした。

 どこか切なさを感じさせる全6篇を収めたミステリー集。彼らの行動は誰かのための「救い」になるのか、話の最後には驚きの結末が待っています。

(A.K)

『またもや山田全自動でござる』『常設展示室』

 山田 全自動/著  ぴあ

 日常生活の中でふとした瞬間に、相手のちょっとした行動が気になることはありませんか?

 日常の生活や買い物の時など、自分と周りとの考えの違いにイラッときたり、寂しい気持ちになったり、現代人なら一度は誰でも感じたことがありそうな日々のあるあるを、浮世絵風のイラストが代弁してくれます。

 今回は47都道府県のあるあるも掲載。まさに現代版四十七次も楽しむことができます。

 年末、なにかと忙しい毎日を過ごす時だからこそ、この本で笑って心のリフレッシュはいかがですか?

                  (A.U) 

 原田 マハ/著  新潮社 

 人生で心に強く残る絵画はありますか? 

 小さい頃から絵画に心惹かれ、絵画と共に歩む人生を選んだ学芸員の美青。長い時間を経て憧れのメトロポリタン美術館で働けることになった矢先、彼女の見る世界は病気により急速に狭くなってしまいます。絶望のなか彼女の目にとまったのは、常設展示されているピカソの「盲人の食事」。苦しさのなか彼女の目に映る絵が伝えるものとは…。

 悲しみや切なさを抱く6人の女性たちが、人生を変える絵画との出会いを綴った6編からなる短編物語です。              

(M.T)

『そばですよ ~立そばの世界~』 『大丈夫。人間だからいろいろあって』
 平松 洋子/著  本の雑誌社

 

 暖簾をくぐれば、鰹節と昆布のだしが効いた、つゆの香り。箸でそばを手繰ると、ゆっくりとほどけ、まろやかなうまみで全身が喜びだしそうです。かき揚げやちくわ天、コロッケなんかも実によく相まって、最後まで飲み干してしまいそう…。

 安くて早い、しかもうまい“立ちそば”の世界。変わりゆく時代の中、立ちそば屋は昔から変わらぬ味と人情で、暖簾を守っているのです。一杯のそばから、店主の仕事ぶりを知り、お客に愛される理由が伝わってきます。

(Y.N)

 香山 リカ/著  新日本出版社

 人間誰しも一つや二つは悩みがあるものです。

 精神科医として多くの患者さんと接している著者。それぞれの人が抱える困難や失敗の話を聞き、落ち込んだり意欲を失くした状態から本来の姿を取り戻してもらうため、日々励まし続けています。

 ストレスを抱えたり、悲しみを背負っていたりしても「大丈夫」。また、思わぬトラブルに見舞われたりしても「大丈夫」。かけがえのない自分、そして、心と体を大切にという著者のメッセージが込められた一冊です。

(R.K)