平成23年8・9月号



佐藤 佳代/著 金の星社

 小学校の先生で、週末にしか帰ってこない母と、転勤で東京にいる父。わたし一ノ瀬七海は、石垣島から船でしか行けない離島で、オジィとオバァとアキラニィニィに育てられていた。
沖縄独特の命の捉え方。「人も魚も、草の種も神様も、みーんなニライからやって来て、みーんなニライに還っていくのさ」どこまでも遠く広がるエメラルドグリーンの海の向こうには、ニライカナイと呼ばれる異郷があると・・・。
身近な人の死に遭遇するたびに、魂(マブイ)を強くする少女の成長の物語。



畠山 重篤/著 小学館

 3月11日 三陸を襲った大津波で、海の生きもののほとんどが姿を消してしまいました。しかし、一ヶ月が経過すると、小魚が現れ、日に日にその数が増えていったそうです。
気仙沼で、カキとホタテの養殖を営んでいる著者は、23年前から「森は海の恋人」運動を続けています。森から流れ出る「鉄」を含んだ水は、川となり、海に入り、植物プランクトンが多く発生する豊かな海を作ります。漁師が森を育てる理由がそこにあるのです。
私たちの体の中にもある「鉄」。
「鉄」はいろんな顔を持ち、地球をつくり、命をも作り出しているのです。魔法のように・・・。



重松 清/著 幻冬社

 工場で働くおじいちゃんは、工作機械の最後の仕上げをする「キサゲ」のベテラン職人さん。小学生の私は、おじいちゃんの定年の日、特別に工場を案内してもらうことになった。
お盆や正月に会う、やさしいおじいちゃんとは違う、おっかないほど迫力のある、真剣に仕事に打ち込むおじいちゃんの姿に、私は「おじいちゃん、すごい、すごい。」と思わず、拍手をしてしまう。おじいちゃんの卓越した技術が、若者に受け継がれていく様子が、少女の目を通して描かれています。




庄野 英二/作 理論社

 コロンブスやマゼランよりも昔に、中国から遠くアフリカ大陸まで7度の大航海を果たした鄭和の冒険物語。




エヴァ・アスムセン/作 金の星社

 生まれてすぐに白人の養子となってデンマークに住むラスムスは、家族と一緒に南国の祖国に旅行に出かけたある日、大地震が起きて家族と離れ離れになってしまう。




乙骨 淑子/作 理論社

 成績優秀とは言いがたい中2の洋平は、ピラミッドパワーの帽子をかぶった時だけに見える、404号室の住人と会ってみる事にしたが・・・・。