コラム

うちどくタウンミーティング

 「うちどく(家読)」は、読書によって親子のコミュニケーションを深める実践で、県内各地でさまざまに取り組まれています。
 先日、佐賀うちどくネットワークの主催で「うちどくタウンミーティングin伊万里」が開催されました。この中で、和歌山県有田川町の「絵本コンクール」、伊万里市黒川町おはなしどんぐりの「まちかど絵本箱」、唐津市北波多小学校の「うちどくリレー」、の3事例が報告されました。
 「うちどく」といえば、家庭教育や子育ての取り組みとばかり思われがちですが、今回はいずれも、家庭から学校や地域へとその活動範囲を広げる実践でした。
 読書や絵本を通してこのまちに住んでよかったという思いが多くの住民の間に広がるとき、「絵本によるまちづくり」が実現するのではないか。そんな予感を参加者の皆さんと共有できたイベントでした。(館長 鴻上哲也)

<佐賀新聞 令和4年10月7日付「いすの木のもとで」より>

市民とつくる図書館

 図書館では、たくさんのボランティアがさまざまな活動を行っておられます。
 例えば伊万里では、おはなし会の開催、布絵本の制作と活用、講演会やコンサートなど各種イベントの開催、毎月の草刈・剪定作業、さまざまな寄付や寄贈、各種審議会での協議提案など、その内容は多岐にわたります。
 中でも特筆すべきは、「図書館フレンズいまり」という友の会の存在です。会員数359人、会員資格は「図書館を愛する人」。約30人の役員は、イベント・美化・広報・インフォメーション・フレンズコーナーの各委員会に分かれて、多彩な活動を展開されています。
 キャッチフレーズは「協力と提言」。単なる援助団体でなく、市民と行政の協働の立場で考えて行動する、図書館にとってかけがえのないパートナーです。(館長 鴻上哲也)

<佐賀新聞 令和4年9月5日付「いすの木のもとで」より>

学校図書館の支援

 子どもたちにとって一番身近で豊かな読書環境は、学校図書館ではないでしょうか?
 公共図書館ほどではないにしろ発達段階に応じたさまざまな本があり、子どもの頃にお気に入りの本に出会われた方も多いことでしょう。
 伊万里市民図書館では2台の自動車図書館が市内の学校を巡回して、学校図書館への団体貸出はもちろん、学級文庫用の本や調べ学習をする時の資料を月に1~2回届けています。そうやって、子どもたちの好奇心や読書意欲をかきたてる新しく魅力的な本を学校に補充しているのです。
 また、昨年度からは当館の司書が学校図書館を訪問して関係職員の相談に応じたり、アドバイスや作業の協力を行ったりもしています。学校図書館との連携・支援も公共図書館の大事な仕事なのです。(館長 鴻上哲也)

<佐賀新聞 令和4年8月9日付「いすの木のもとで」より>

図書館の目的と多様性

 先日、ある大学の先生が民間企業の指定管理で運営されている図書館と、公設公営の当館の両方を視察された後、「どちらが善でどちらが悪という見方ではなく、別の軸で見るべきだと思っている」との感想をいただきました。
 今の時代はあらゆる面で「多様性」が尊重されます。公共図書館についても、画一的な捉え方でなく、どんな目的で設置されているのかを知ることが大切です。
 伊万里市民図書館は条例で「すべての市民の知的自由を確保し、文化的かつ民主的な地方自治の発展を促すため」とうたっており、現在いうところの多様性も担保されています。
 この目的を達成するために、運営形態・蔵書構成・職員体制・事業内容などが適切かどうか検証することが大切だと考えています。(館長 鴻上哲也)

<佐賀新聞 令和4年7月11日付「いすの木のもとで」より>

読書のバリアフリー

 「インクルーシブ教育」という言葉が学校でよく使われます。障がいのある人もない人も、自分の能力を最大限に伸ばし効果的に社会参加できるよう、ともに学ぶ仕組みのことです。
 図書館でも通称、読書バリアフリー法の施行(2019年)を受けて、さまざまな障がいがあっても読書を楽しめるように環境を整え、資料を整備することが求められています。
 目が見えない、文字や絵を認識することが難しい、本を持ったりページをめくったりすることが難しい、小さな文字が読みづらいなど、さまざまな理由で読書が困難な人々に向けて、最近ではその特性に応じた読みやすい形式の本や新しい道具が出版・開発され、手軽に利用できるようになりました。
 詳しくは、お近くの図書館にお尋ねください。(館長 鴻上哲也)

<佐賀新聞 令和4年6月14日付「いすの木のもとで」より>