先月、文部科学省が出した「第5次子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」の中で、本を月に1冊も読まない子どもの割合「不読率」を減らすことが基本方針の一番に挙げられていました。
この計画には、読書への関心を高める具体的な取り組みが多く紹介されていますが、最も効果が期待されるのは、「全校一斉の読書活動」ではないでしょうか。始業前に各自が好きな本を読む。たとえ10分でも1週間なら約1時間。ちょっとした本が読める時間です。
各教室には、市民図書館からセットで貸し出された本が、ほぼ月替わりで配本されています。大切な一冊との出合いがあるかもしれません。ところが最近、学習時間を確保するために朝の読書をやめる学校もあると聞きます。読書離れが進む中、学校での貴重な時間をどう使うかは、きわめて重要な問題です。 (館長 鴻上哲也)
<佐賀新聞 令和5年4月28日付「いすの木のもとで」より>
ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本が優勝した時のニュースの中で、多くのファンや選手、評論家が「漫画みたいで感動した」と話していました。ひと昔前まで「漫画みたい」という比喩表現は、「くだらない」「低俗な」という否定的なイメージで使われていました。しかし今回は、「想定をはるかにしのぐドラマチックな展開」のようなニュアンスでした。
近年、漫画は世界に誇る日本文化としての評価が高まっていますが、公共図書館における漫画自体の取り扱いはさまざまです。図書館の全国組織である日本図書館協会は、利用者の関心や心情に合うとともに一定の評価を得た作品を適正に選んで、自館の蔵書構成や予算を考慮して購入するよう求めています。当館では約2000冊のコミックを収蔵して貸し出しを行っています。(館長 鴻上哲也)
<佐賀新聞 令和5年3月31日付「いすの木のもとで」より>