作家の柳田邦男さんが講演の中で、「絵本には、人生に3度読むといい時期がある」と話されました。1度目は幼い時、2度目は子育ての時、そして3度目は年老いて孤独や病にさいなまれた時だそうです。
絵本は、効果的な絵と短い文章で構成されているので、集中力が低下しがちな高齢者でも無理なく楽しむことができます。しかも、その内容は柳田さんが「絵本は、作家が人生で一番大事なことを書いている」と言うように、心に響くものがあります。
市内でも最近は、高齢者福祉施設やサロンなどで絵本や紙芝居の読み聞かせを行う所が増えました。私も時々読みに伺いますが、子ども以上に積極的に反応しながら聴いてくださる印象があります。多幸感を味わい、他者と交流する機会を提供できる絵本や紙芝居は、高齢者にとって人生をより豊かに生きるためのツールと言えるでしょう。 (館長 鴻上哲也)
<佐賀新聞 令和6年12月13日付「いすの木のもとで」より>