昨年度末から現在に至るまで、新型コロナウィルス感染症の拡大防止のため、皆さまには何かとご不自由・ご不便をおかけして申し訳ありません。マスク着用や座席間隔などさまざまな制限をお願いしていますが、快くご協力いただきありがとうございます。また、中には「大変ですね」「ご苦労様です」とあたたかい言葉をかけてくださる方もおられて、大いに励まされています。あらためてお礼申し上げます。まだしばらくは、警戒を緩めるわけにはいきませんが、皆さまの安全・安心を確保して図書館サービスができるよう努めてまいりますので、引き続きご協力いただきますようお願いします。
さて、伊万里市民図書館は今年で開館25周年を迎えました。当時の資料を読み返していると、開館の1年前、職員と市民の代表5人がアメリカまで図書館の先進地視察へ出かけておられました。かなり気前の良い時代であったとはいえ、図書館づくりにかける市民の熱い思いがバックにあったことは疑いのないところです。その報告書の中の一文に目が留まりました。そこには「アメリカでは、本は図書館から借りて読むもの」というのが常識だということが記されていました。
今や、インターネットを使えば1日で新刊が自宅に届く時代。わざわざ、図書館にまで足を運んで本を借りるという人は、もう珍しいのかもしれません。ある常連さんに月に何冊くらい読まれるのか尋ねると、「10冊くらいですかね。」との返事がありました。読書家にとっては必要な自己投資であり、生きがいでもあるだけに、このペースはくずせないでしょう。とはいえ、読みたい本を全部購入するとしたら、たいそうな出費です。1冊平均2,000円ぐらいとしても、月に20,000円、年間では240,000円もかかります。しかし、市民が払った税金で図書館は運営されていますので、伊万里市民は読書に関しては最小の投資で最大の効果を得ていることになります。むしろ、使わないでいるのはあまりにもったいない話です。
当館所蔵の約39万冊はすべて市民のものです。人間でいえば今年で25歳となって、青年から大人へと成長を続ける伊万里市民図書館を、これからも皆さまのくらしのお役に立たせてください。
(館長 鴻上哲也)