カテゴリ:いすの木

偶然の本との出会い 人生をより豊かに

 図書館の書架の間を歩いていると、思いがけない本や忘れられない本と巡り合うことがよくあります。
 インターネットを使えば、欲しい本がすぐに手に入る時代ですが、自分の経験とカンを頼りに面白そうな本を探す。特に目的もなく、ゆっくり時間をかけて、本の森を散策するのは、ぜいたくな休日の過ごし方とも言えるでしょう。
 今でこそ、読書の好みが確立している人も、最初は友達から紹介してもらったり、立ち読みした作家にハマったりしたところから始まったのではありませんか?
 偶然の本との出会いが、あなたの人生をより豊かなものにするかもしれません。本とのときめく出会いを、図書館でお楽しみください。(館長 鴻上哲也)

<佐賀新聞 令和3年5月31日付「いすの木のもとで」より>

図書館と“DX”

 最近よく目にする「DX」という言葉。これは、デジタルトランスフォーメーションを略したもので、簡単に言えばITの浸透が人々の暮らしをより良い方向に変化させることです。
 伊万里市民図書館には、「おすすメール」というサービスがあります。あらかじめ、好きな著者名や興味のあるキーワードを複数登録しておけば、その条件にピッタリの新着図書があった場合にメールでお知らせするというシステムです。仕事や趣味に関する図書、お気に入りの作家の新刊情報を手軽に入手できます。
 コロナ禍の中、図書館における「DX」はますます加速化する可能性があります。身近な図書館を、もっと便利に使いこなしたい方は、どうぞ図書館員にご相談ください。(館長 鴻上哲也)

<佐賀新聞 令和3年5月3日付「いすの木のもとで」より>

※この記事と一緒に掲載されていた写真のキャプションで「大坪保育園」とあるのは「伊万里保育園」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。

ブックスタート事業

 NPO法人やベンチャー企業、自治体などが社会貢献性の高い事業を行う際に、クラウドファンディングで資金を調達することが増えています。
 現在、伊万里市では市内の赤ちゃんに絵本を贈って親子で読み語りを体験してもらう「ブックスタート事業」について、コロナ禍の中で再開するために寄付をお願いしています。
 税金控除のほか、市外に住んでいる人であれば、寄付額に応じた市の特産物を返礼品として受け取ることができますので、新しいボランティアの形として協力してもらえると幸いです。
 詳しくはQRコードからホームページを開くか、伊万里市民図書館、電話0955-23-4646まで問い合わせしてください。(館長 鴻上哲也)

QRコード

<佐賀新聞 令和3年4月5日付「いすの木のもとで」より>

ちょっといい話

 ちょっといい話を耳にしました。当館の職員が所属している社会人の読書グループに、新しく高校生が入会した時のことです。
 「先輩」たちの読書量に圧倒されたその生徒が「まだ全然、本を読んでいないので恥ずかしいです」と言ったところ、メンバーのお一人が「うらやましいなあ。それはまだこれからたくさん楽しみがあるってことだよ」と返されたそうです。
 若者の読書離れがよく問題になりますが、本を読んでいないという子どもに「頑張って読みなさい」ではなく、こんなかっこいい言葉掛けができる大人って素晴らしいですね。身近な大人は、子どもにとって最も影響力の強い読書環境です。(館長 鴻上哲也)

<佐賀新聞 令和3年3月8日付「いすの木のもとで」より>

「友の会」フレンズいまり

 図書館にはボランティアの方が、さまざまな分野で関わってくださっています。伊万里市では、建設計画の段階から市民と行政の「協働」で取り組まれてきたので、現在でもイベントや環境整備、清掃美化、広報PRなど、図書館の運営はボランティア抜きに語れません。
 さらに、各種ボランティア団体の緩やかなネットワークのもとに、図書館の活動への「協力と提言」を行う「図書館フレンズいまり」という、いわば「友の会」も組織されています。一定の緊張関係を保ちながら、図書館活動を共に楽しむパートナーが存在することによって、市民はより豊かな図書館ライフを満喫できるのです。(館長 鴻上哲也)

<佐賀新聞 令和3年2月8日付「いすの木のもとで」より>

今年も「本の福袋」

 この時期、多くの図書館で「本の福袋」が人気です。当館でも、15日から大人用と子ども用に分けてそれぞれ70セットずつを提供しています。
 今年は、感染症対策で①テーマの書かれたカードを提示②気に入ったカードを取ってデスクに提出③個別包装の福袋と引き換え―といった流れでお渡しします。袋の中には、図書館員お薦めの本が3~5冊。ご愛顧に感謝してささやかなプレゼントも入れています。
 好きなジャンル以外の本って、なかなか手が伸びませんよね。あなたと新しい本との出合いを願う、遊び心の企画の一つです。(館長 鴻上哲也)

<佐賀新聞 令和2年12月15日付「いすの木のもとで」より>

アクセス自由のネット図書館

 「青空文庫」ってご存知ですか?著作権が消滅した作品や、作家が「自由に読んでもらってかまわない」とされたものなど、約1万5000点以上の作品が収録されているインターネットの図書館です。
 パソコンやスマホなどで、誰でも自由にアクセスでき、作家別・作品別・分野別で簡単に検索して、無料(通信料のみ)で読むことができます。この活動は、原稿の入力や校正など、すべてボランティアの力で成り立っています。
 ホームページには「多くの人に、快適に作品を味わい、自由にファイルを使ってもらうことは、この場を整えている私たちの願いです」と記してありました。外出がはばかられる時は、「青空文庫」(https://www.aozora.gr.jp/)を活用されてみてはいかがですか。(館長 鴻上哲也)

<佐賀新聞 令和2年11月16日付「いすの木のもとで」より>

付箋の「ピカリン」完成

 本来なら7月7日の開館記念日に、25周年の記念イベントを行う予定でしたが、中止を余儀なくされましたので、「おめでとうdeアート」への協力を、7月初めから利用者の皆さんにお願いしていました。
 お祝いのメッセージを付箋(ふせん)に書いて台紙に貼り付けるものです。付箋は毎日少しずつ増えていき、8月16日、一組の親子が最後の3枚を書いて見事完成しました。離れて見たら、市民図書館のイベントマスコット「ピカリン」の楽しげな姿ですが、一枚一枚の付箋には、感謝や思い出、希望、決意などの言葉がそれぞれ書かれています。
 今年は、人が集まることこそできませんでしたが、図書館を愛する皆さんの心が一枚の大きなアートになりました。また一つ、図書館の宝物が生まれたように思います。皆さんのまちでも、図書館の「誕生日」をお祝いしておられますか?(館長 鴻上哲也)

<佐賀新聞 令和2年8月24日付「いすの木のもとで」より>

図書館員の力

 私が利用者だった頃の話です。ある本を探すため、膨大な量の本の前で右往左往していました。とうとう探し疲れて司書に尋ねると、ほんの数分で見つけ出してくれました。
 また、ある問題について調べ物をしていた時も、司書に相談すると関連資料を4、5冊即座に見繕ってくれました。その上、所蔵していない本は、他の図書館から取り寄せてくれました。
 図書館は、たくさんの本があるだけで十分魅力的な施設です。しかし、図書館員の力を借りると、さらにその価値が高まります。ネット検索と自宅配送が主流になってきた現代でも、わざわざ図書館まで足を運んでくださる皆さんとすてきな本との出会いのために、私たち図書館員は働いています。
 どうぞ気軽に声を掛けてください。(館長 鴻上哲也)

<佐賀新聞 令和2年7月27日付「いすの木のもとで」より>