コラム

めばえの日

 2月26日は図書館建設の起工式を記念した「図書館めばえの日」です。毎年この日には図書館フレンズいまりの主催で「ぜんざい」を食べて、図書館の意義を考えてきましたが、今年は「夢語りの集い」が行われました。
 子育て・福祉・まちづくりなどさまざまなジャンルの市民が、「こんな図書館だったらイイなあ」というイメージをオノマトペ(擬音・擬態語)で発表した後、具体的なアイデアまで示してもらいました。発言内容が一過性のもとに消えてしまわないよう、プロのファシリテーターが分かりやすくその場で視覚化しました。会場からもたくさんの意見が交わされ、市民運動から始まった伊万里の図書館づくりの熱気がよみがえったような時間でした。
 「図書館は成長する有機体である」と言われますが、そのためには市民の声と行動が不可欠であることを再認識できた「めばえの日」でした。 (館長 鴻上哲也)

<佐賀新聞 令和5年3月3日付「いすの木のもとで」より>

読書のバリアフリー

 専修大学の野口武悟教授を招いて、「読書から誰一人取り残さないために」のテーマで講演会を行いました。
 「今、図書館は本当に人々に必要な読書環境を提供できているのか?貧困、外国籍、障がいなどによって『本の飢餓』を生んでいないか?」という問題提起は関係者の胸に深く刺さりました。この問題を解決するには、誰もが自分事としてできることに取り組まねばなりません。
 図書館では、大活字本や点字付きさわる絵本、朗読CD、LLブック、布の絵本など、さまざまなバリアフリー資料を充実させつつあります。また、自動車図書館の運行を始め、拡大読書器などの読書補助具、対面朗読、音声ガイド付き映画の上映会などのサービスも行っていますが、これらは必要とする方に充分届いているのでしょうか?
 善意の押し付けでなく当事者の方と一緒に考え、読書のバリアフリーの実現をめざしたいと思います。(館長 鴻上哲也)

<佐賀新聞 令和5年2月3日付「いすの木のもとで」より>

広報に「人生すごろく」

 新年1月号の「広報伊万里」の特集を伊万里市民図書館が飾っています。関係職員で打ち合わせて、テーマは格調高く「人生に寄り添う図書館」に決定。人の成長ごとに図書館が関わりを持っていることを知っていただこうという企画です。
 そこで、新春にふさわしく、見開き一面に「人生すごろく」を掲載することにしました。当館では、赤ちゃんに絵本と読み聞かせをプレゼントするブックスタート事業に始まり、学校図書館の支援や、福祉施設などへの巡回、さまざまな調査相談、生涯学習の支援など、人生の各時期に寄り添うサービスを提供しています。
 市民の皆さんへのお知らせのために作った「すごろく」ですが、あらためて図書館の使命の大切さを図書館員自身が再認識する機会ともなりました。今年もよろしくお願いします。(館長 鴻上哲也)

<佐賀新聞 令和5年1月6日付「いすの木のもとで」より>

令和5(2023)年 新年のごあいさつ

 新年あけましておめでとうございます。
 旧年中は、伊万里市民図書館をご利用いただき、誠にありがとうございました。
 おかげさまで昨年は、3年ぶりに図書館☆(ほし)まつりを開催したり、さまざまなイベントに図書館をご利用いただいたりして、久しぶりに人が集うことの喜びや元気を共有することができました。また、たくさんの企業や団体・個人の皆様から、寄付やボランティア活動を行っていただき、心から感謝申し上げます。まさに、市民との協働のもとに成長を続ける図書館であることを、実感する機会の多い一年でした。
 一方、社会全体を見渡せば、危機や不安・混乱に胸がふさがるご時世ですが、たとえ、どんな状況下にあっても、図書館は皆さんの知的自由を確保する生涯学習の拠点(人生に寄り添う図書館)であり続けたいと願っています。本を読むことや、学んで行動を起こすことによって、一つひとつの問題を夢や希望に転換できると信じて、職員一同、図書館サービスの充実に努めてまいります。
 どうぞ本年も、伊万里市民図書館をよろしくお願い申し上げます。皆様のご利用を心からお待ち申し上げております。

(館長 鴻上哲也)

家読フェスティバル

 伊万里市は、読書を通して家族のコミュニケーションを図る「うちどく」に早くから取り組んでいます。
 先日、松浦町で開かれた第15回家読フェスティバル(松浦コミセンまつりと合同開催)では、地元の小・中学校の先生方から実践発表がありました。小学校と家庭が連携したリレーうちどく。中学校と市民図書館が連携した図書館まつり。なんと、校長先生自ら発表していました。
 また、保育園や読み語りグループからは絵本を題材にしたかわいい劇や、見応えのあるパフォーマンスが披露されました。会場の駐車場には、自動車図書館“ぶっくん”も出動して貸し出しを行いました。
 家庭と地域と学校と行政が、それぞれの役割を自覚して、堅実に取り組まれている松浦町の「うちどく」。挨拶の中で実行委員長は「『うち』は家を示すだけでなく、『仲間うち』も含むのです」と話されていました。家庭から地域住民へ、読書だけでなく優しさや連帯感も広がっています。
 (館長 鴻上哲也)

<佐賀新聞 令和4年12月2日付「いすの木のもとで」より>