伊万里市は、読書を通して家族のコミュニケーションを図る「うちどく」に早くから取り組んでいます。
先日、松浦町で開かれた第15回家読フェスティバル(松浦コミセンまつりと合同開催)では、地元の小・中学校の先生方から実践発表がありました。小学校と家庭が連携したリレーうちどく。中学校と市民図書館が連携した図書館まつり。なんと、校長先生自ら発表していました。
また、保育園や読み語りグループからは絵本を題材にしたかわいい劇や、見応えのあるパフォーマンスが披露されました。会場の駐車場には、自動車図書館“ぶっくん”も出動して貸し出しを行いました。
家庭と地域と学校と行政が、それぞれの役割を自覚して、堅実に取り組まれている松浦町の「うちどく」。挨拶の中で実行委員長は「『うち』は家を示すだけでなく、『仲間うち』も含むのです」と話されていました。家庭から地域住民へ、読書だけでなく優しさや連帯感も広がっています。
(館長 鴻上哲也)
<佐賀新聞 令和4年12月2日付「いすの木のもとで」より>
全国学校図書館協議会の調査で、小中学生の1ヵ月の平均読書冊数が30年前に比べて倍増(小学生6.5冊から13.2冊に、中学生2.1冊から4.7冊に)していることが分かりました。
学校や家庭での地道な取り組みの成果だと思われますが、その一方で1ヵ月に1冊も読まない割合は小6で10%、中3で31%、高3で69%と、学年が上がるにつれて増加しています。
その理由はさまざまですが、高学年になって図鑑や絵本を読んでいると、物語や長編小説を読むように促す大人がいることも背景にないでしょうか。本を選ぶこと、読むことは当人の自由です。だから図書館は面白さや魅力を紹介して勧めることはあっても、一定の価値を押し付けて強制することはしません。
今年から「本との新しい出会い、はじまる。」をテーマに「秋の読書推進月間」も始まりました。読書の喜びを再確認したいものです。(館長 鴻上哲也)
<佐賀新聞 令和4年11月4日付「いすの木のもとで」より>
「うちどく(家読)」は、読書によって親子のコミュニケーションを深める実践で、県内各地でさまざまに取り組まれています。
先日、佐賀うちどくネットワークの主催で「うちどくタウンミーティングin伊万里」が開催されました。この中で、和歌山県有田川町の「絵本コンクール」、伊万里市黒川町おはなしどんぐりの「まちかど絵本箱」、唐津市北波多小学校の「うちどくリレー」、の3事例が報告されました。
「うちどく」といえば、家庭教育や子育ての取り組みとばかり思われがちですが、今回はいずれも、家庭から学校や地域へとその活動範囲を広げる実践でした。
読書や絵本を通してこのまちに住んでよかったという思いが多くの住民の間に広がるとき、「絵本によるまちづくり」が実現するのではないか。そんな予感を参加者の皆さんと共有できたイベントでした。(館長 鴻上哲也)
<佐賀新聞 令和4年10月7日付「いすの木のもとで」より>
図書館では、たくさんのボランティアがさまざまな活動を行っておられます。
例えば伊万里では、おはなし会の開催、布絵本の制作と活用、講演会やコンサートなど各種イベントの開催、毎月の草刈・剪定作業、さまざまな寄付や寄贈、各種審議会での協議提案など、その内容は多岐にわたります。
中でも特筆すべきは、「図書館フレンズいまり」という友の会の存在です。会員数359人、会員資格は「図書館を愛する人」。約30人の役員は、イベント・美化・広報・インフォメーション・フレンズコーナーの各委員会に分かれて、多彩な活動を展開されています。
キャッチフレーズは「協力と提言」。単なる援助団体でなく、市民と行政の協働の立場で考えて行動する、図書館にとってかけがえのないパートナーです。(館長 鴻上哲也)
<佐賀新聞 令和4年9月5日付「いすの木のもとで」より>
子どもたちにとって一番身近で豊かな読書環境は、学校図書館ではないでしょうか?
公共図書館ほどではないにしろ発達段階に応じたさまざまな本があり、子どもの頃にお気に入りの本に出会われた方も多いことでしょう。
伊万里市民図書館では2台の自動車図書館が市内の学校を巡回して、学校図書館への団体貸出はもちろん、学級文庫用の本や調べ学習をする時の資料を月に1~2回届けています。そうやって、子どもたちの好奇心や読書意欲をかきたてる新しく魅力的な本を学校に補充しているのです。
また、昨年度からは当館の司書が学校図書館を訪問して関係職員の相談に応じたり、アドバイスや作業の協力を行ったりもしています。学校図書館との連携・支援も公共図書館の大事な仕事なのです。(館長 鴻上哲也)
<佐賀新聞 令和4年8月9日付「いすの木のもとで」より>