カテゴリ:いすの木

冬麗の微塵 考える大切さ教える箴言集

 自分が大切にしたい言葉「座右の銘」には、偉人の名言や故事成語、本の中の教訓めいた箴言(しんげん)が使われることが多いですが、先頃、ある箴言集が当館に寄贈されました。

 『冬麗(とうれい)の微塵(みじん)』と題されたこの小冊子は、大手新聞社を退職後、当時の市長に請われて当館建設構想の陣頭指揮にあたられた森田一雄氏が昨年100歳で亡くなられた後、氏を慕う有志の方々によって作られ、先月行われた「偲ぶ会」の出席者に配布されたものです。

 内容は、稀代の読書家だった氏が晩年に書き留めておられたもので、多くの哲学者や文人らの生き方・死に方の教えに満ちた珠玉の言葉にあふれており、それは同時に氏の生きざまとも重なります。

 「静かな眼 平和な心 その外に 何の宝が世にあろう」冊子の冒頭に掲げられた三好達治の言葉です。本を読みながら物事を深く考えることの大切さを現代人に呼び覚まさせてくれるこの箴言集は、当館でどなたも読むことができます。

(統括管理者:鴻上哲也)

<佐賀新聞 令和7年5月9日付「いすの木のもとで」より>