カテゴリ:いすの木

読書のまちづくり 共同体育む未来への投資

 伊万里市黒川町では、「家読(うちどく)」の実践が根付いています。学校での読み聞かせをきっかけに始まった取り組みは、やがて大人も子どもも読書を楽しみ、感想を語り交流できる心豊かな風土づくりへと広がりました。
 本は、知識や感性を育むだけの道具ではありません。同じ物語を共有することで、家族の会話が生まれ、地域の中に共通の話題と価値観が育ちます。読書は個人の営みでありながら、人と人をゆるやかにつなぐ力を持っています。図書館は、その循環を支える拠点でもあります。
 来年1月から伊万里市では、文部科学省の委託を受けて「読書のまちづくり推進事業」に取り組みます。これは、さまざまな世代や立場を超えた人たちが、同じ読書空間やイベントを通じて、出会い、対話し、居心地の良い人間関係を築く、そんなコミュニティー形成を目指すものです。読書を通じて、生涯にわたって学びと文化のある知的インフラを整備していく。読書によるまちづくりは、未来への静かな投資と言えるでしょう。

(統括管理者 鴻上哲也)

<佐賀新聞 令和7年12月19日付「いすの木のもとで」より>