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おすすめの本
『面白くて眠れなくなる流体力学』  
石本 健太/著  PHP研究所

 コップの中の茶葉はなぜ真ん中に集まるのか、コーヒーのシミはなぜ端っこほど濃くなるのか、生活を送る中でこういった疑問を思い浮かべた人はいるのではないでしょうか。
 この本では、日常生活で出てくる疑問や出来事を流体力学の観点から解説されています。流体力学と聞くとすごく難しそうなイメージがあると思いますが、私たちの身近にある食べ物や現象などを使って説明されていますので、数学や化学が苦手な人でも楽しめる1冊になっています。
(R.K)
 
『私と家族と「川の図書館」』

熊谷 沙羅/著  有隣堂


 川の図書館は、河川敷に本が並べてあるだけの図書館です。日曜日の午前10時に始まり、本を持ち帰り交換できます。当時、13歳の著者がコロナ禍で「何かしたい!」という気持ちから始まったものでした。初めは様子を見に来る人だけでしたが、いつしか本の交換だけでなく、地域住民の交流の場となりました。川の図書館が開館できたのは家族の協力があったからこそ。
 幼少期からの教育や家族との関わりを交えつつ、18歳となった著者が自分の力で作ろうと思い立った当時の活動を振り返ります。

(A.S)
 
『戦争が終わり、そして子どもたちの戦いが始まった』
長谷川 敦/著  旬報社

 昭和20年8月15日、終戦。日本に平穏な暮らしが訪れたとされる日ですが、戦争で親を亡くした戦争孤児たちの生きる戦いはむしろここから始まりました。
 この本は、実際に戦争孤児だった人々がどのように生き抜いてきたかを取材した本です。親戚に引き取られたものの、労働力としてこき使われ学校に通えなかった子。駅で浮浪児となった子。満州からの引き揚げ途中で家族を病で失った子。実の親を今も探し続けるかつての赤ん坊。そして、そんな孤児たちに救いの手を差し伸べた大人たち。必死に生き抜いてきた人々の人生に、分かりやすい文体で肉薄する一冊です。

(S.S)
 
『「やりたいこと」はなくてもいい。』
しずか みちこ/著  ダイヤモンド社

 「将来の夢は?」「目標は?」と聞かれて、あなたはすぐに答えられますか?誰もが何度も聞かれてきたであろう問いに対して、「夢を叶えた人だけが偉いの?」と著者は疑問を投げかけます。何が起きるかわからない人生、10年後に何をしていたいかなんてわからなくて当然なのです。
 将来を真剣に考えている人ほど、人生に不安を抱えがち。自分に自信を持つために、まずは「強みの種」を見つけることが大切だと著者は語ります。「やりたいこと」ではなく「どうありたいか」を指標にすると、自ずと道が見えてくるかもしれません。自分らしい人生を応援してくれる1冊です。

(A.K)
 
『じゃないほうの歌いかた』
佐々木 愛/著  文藝春秋

 東京の住宅街にたたずむ独立系カラオケ店「BIG NEKO」。そこに集まるのは、「ダサい」がコンプレックスで上京したのに、「カラオケのイメージ映像に出てきそうな女」と2回も言われた女性や、同じ人を好きになった男女、結婚を機に俳優の夢をあきらめた、反抗期の娘がいる男性など。
 そんな彼らの共通点は「じゃないほう」。キラキラした東京人にも、大好きな人の恋人にも、若い頃夢見た大スターにもなれなかった「じゃないほう」の主人公たちが、BIG NEKOを通して少しずつ前に進んでいく物語です。
(S.T)
 
『アニメ聖地移住』
千葉 郁太郎/著  集英社インターナショナル
 

 日本のアニメは海外でも人気が高まり、日本文化の一つともいわれています。90年代後半からアニメの舞台になった場所への旅がファンに楽しまれ、2016年にヒットしたアニメ映画をきっかけに、その旅は「アニメ聖地巡礼」として多くの人々に注目されました。さらに、地域の活性化にもつながりました。そして、今や「巡礼」に留まらず「移住」する人が増えているようです。著者もその一人で、本書では、実際に聖地移住をした人を取材し、そこから見えてきた課題にも触れ、個人にとどまらず、社会的な意義を持つ聖地移住の実態を掘り下げています。

(Y.O)