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おすすめの本
『氷河期世代力』  
吉野 かぁこ/著  花伝社

 「就職氷河期世代」って、すごくかわいそうで大変な人生を送っている人たち?いえいえ、そんな人ばかりではありません。時代に翻弄されながらも、自分らしさを貫いて生きる9人の氷河期世代にインタビューします。
 苦労して射止めた就職先ではパワハラにあったり、アルバイトをしながら周囲に流されるまま生きてきた、なんて人もいます。それでも国内外のポップカルチャーに触れながら成長してきた9人からは、自らの人生を笑顔で前向きに楽しんでいる様子が伝わってきます。
 自身も氷河期世代である著者が「狭間のお得な世代」と語る人たちの生き様を覗いてみましょう。
(S.S)
 
『作家の住まいと暮らし詳説絵巻』

建築知識/編  エクスナレッジ


 名作を残した作家たちの「暮らし」と時代とともに変化する執筆空間について、実際に生活した家の間取り図を見ながら紐解いていきます。
 朝ドラで話題の小泉八雲は、町から離れた武家屋敷で妻・セツとの暮らしを始めました。当時の西洋人としては珍しく日本の文化に対して好意的であった彼の自宅には、枯山水の鑑賞式庭園があり、その美しい庭を大変気に入っていたとの話が残っています。
 愛用品に囲まれた家や自身で設計した家、移動式の草庵など、特徴ある住まいからどのような作品が生まれたのか、あなたの読書欲にスイッチを入れる1冊です。

(A.K)
 
『痛いところから見えるもの』
頭木 弘樹/著  文藝春秋

 著者は、カフカをはじめとした作家の編訳や名言集などを手掛ける文学紹介者です。
 本書では、心身の「痛み」を、文学的な視点で読み解いています。長年、絶望的な痛みと対峙してきた著者は、痛みには孤独がもれなくついてくると記しています。「痛み」を言葉で伝えることは難しいです。だからからこそ、「痛い人」と「痛い人のそばにいる人」をつなぐ、かつてなかった本を作りたいとの思いが伝わります。本書の中で紹介されている著名な作家たちが、「痛み」について書いている文学作品もまた興味深いです。

(S.K)
 
『老いのレッスン』
内田 樹/著  大和書房

 30代女性編集者の質問に著者が答えるQ&A形式で、少子化・人口減少・長寿化による生き方の変化や、カオス化する世界についてと「老い」以外にも幅広く綴られ、是非若い世代にも読んでもらいたいと書かれています。
 現代は、老いを忌み嫌う時代と思うようなことはありませんか?誰にでも一回はやってくる「老い」。その時までに心の準備をすることで人生を味わい深く、心穏やかなものになると教えてくれるレッスン本です。

(Y.K)
 
『みちゆくひと』
彩瀬 まる/著  講談社

 父を二年前に亡くし、続くように母も亡くした主人公の燈子。しかし彼女は、家族が亡くなるずっと前から孤独を感じていました。そのきっかけは20年以上も前に、幼かった弟・輝之を襲った悲しい事故。
 そして死者の世界でも事故の苦しみを引きずっていた母・晶枝。晶枝は死者が成仏するための夜行で夫と再会するも、輝之を探すために夜行を抜け出します。
 現世の燈子は、母の死後も書き綴られる日記を見つけ、足りない愛情を求めて読み進めます。
 日記を通して現世とあの世が交じり合う家族の物語です。
(S.T)
 
『かなえびと 大野寿子が余命1カ月に懸けた夢』
小倉 孝保/著  文藝春秋
 

 難病の子どもたちの夢をかなえる非営利団体、メイク・ア・ウィッシュ・ジャパンの初代事務局長を務めた大野寿子さん。彼女は3,000人もの難病の子どもたちと家族に寄り添い、その大きな夢を実現する「かなえびと」でした。
 そんな彼女に宣告されたのは、余命1か月という厳しい現実。大野さんが最後に成し遂げようとしたのは、子どもたちが勇気をもって夢をかなえていく姿を描いた自著を、日本中に届けることでした。
 この活動を広め一人でも多くの人に知ってもらおうと命の灯を燃やし尽くした、奇跡のような最期の一瞬を描いた感動のノンフィクションです。

(Y.N)