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おすすめの本
『大地と人の物語 地質学でよみとく日本の伝承』  
日本地質学会/編  創元社

 大地から生まれる、地球神話。多様な地質から生まれた神話や伝承は、歴史の中で息づき積み重なって、ダイナミックな地球の活動の痕跡を示してくれています。伝承と地質学は、密接につながりあっていたのです。
 地震や洪水などの災害を恐れ、地質学的な特徴を信仰にしたり、入江に土砂が堆積し、海が陸へと変わるさまを渡来人の仕業だと解釈したり。
 日本神話や伝承に隠された地質の歴史には、古の人々が畏怖をもって自然と共存してきた記憶が刻まれているのです。
(Y.N)
 
『ネバーランドの向こう側』

佐原 ひかり/著  PHP研究所


 交通事故で大好きな両親を亡くした実日子。この事故をきっかけに叔母が家にやってきて、二人暮らしを始めます。日が経つにつれて、三人の思い出が詰まった家がどんどん叔母に侵食されていき、耐えられなくなった実日子は一人暮らしを決心。
 ところが、両親に大切に育てられたおかげか、30歳になっても箱入り娘のまま一人では何もできず、大好きな家を出ていくことに何度も心が折れかけます。「こどもおばさん」と言われてしまった彼女がどんな大人に成長するのか、ぜひ読んで確認してみてください。

(S.T)
 
『ネット炎上事例300』
小林 直樹/著  日経BP

  SNSの投稿や広告の表現などが不適切とみなされ批判が殺到する、いわゆる「炎上」。実際に起こった300の炎上事例を取り上げ、その対応と教訓を紹介します。
 「家事は女性がやるもの」という旧来の考えが滲み出ている広告や、SNS担当者が他者におこなった誹謗中傷など、その内容は様々です。中には、炎上の鎮静化を図って余計に悪化したものや、反対にピンチを勝機に変えたものも。
 「『今まではセーフだった』は、『これからもセーフ』を意味しない」と語る本書。SNSや広告の仕事に関係ないという方も、現代における倫理観・価値観を学んでみませんか?

(S.S)
 
『山に登るなら知っておきたい山の気象がわかる本』
矢野 政人/監修  メイツユニバーサルコンテンツ

 近年は登山ブームです。その人気に伴い、遭難事故などのニュースもよく耳にします。できれば、安全に山を楽しみたいものです。本書は、気象の基礎知識から天気予報の見方、上手な活用方法など、実践で役に立つ知識を図解を用いて、やさしい言葉で解説しています。また、写真も豊富に掲載されており、夏山と冬山の様子の違いや、十種類の雲の様子など山のイメージがわいてきます。気象予報士と登山ガイドの資格を持つ矢野氏が、安全に山を楽しむための極意を記した天気入門書です。
(S.K)
 
『うちのワンコが、ニャンコが、死んじゃったらどうしよう』
獣医師シワ男/著  KADOKAWA

 犬猫との出会いは、飼主さんとの日々の生活を豊かにし、たくさんの笑顔と感動を与えてくれる存在です。この出会いは偶然で大切な贈り物。しかし、その大切な贈り物との生活は、いつまでも続きません。獣医師である著者は、終末期の犬猫の過剰な治療は苦痛を与えていることになると教えてくれます。飼主さんに後悔してほしくないとの思いで、もっと知ってほしいこと、治療にもいろんな選択肢があることを教えてくれます。今、犬猫と過ごしている飼主さんや見取りを終えて悲しい気持ちでいる方にも是非読んでもらいたい一冊です。
(Y.K)
 
『関係のないこと』
上田 岳弘/著  新潮社
 

 5年前に離婚した兄夫婦。いわゆる「パワーカップル」だった2人に僕は負い目を感じていました。ある日、甥である裕哉が青虫を拾ってきます。プラスチックの虫かごに入れられた青虫は、心配をよそにすくすくと成長し蝶になりました。しかし、片方の翅は丸まったまま。自然の中で羽化していたらこんなことにはならなかったかもしれない…。十分に飛ぶことのできない片翅の蝶ですが、自分の世界で精一杯生きています。環境が与える影響か、個体が持つ性質か、幸せの定義とは何か。それは人間と重なる部分もあり…。
 心動かされる全5編の短編集です。

(A.K)