カテゴリ:いすの木

めばえの日

 2月26日は伊万里市民図書館の起工式を記念した「めばえの日」です。
 当館は構想の段階から、市民と行政が何度も学習と議論を重ねてつくり上げた「協働」のお手本と言われます。このやり方は、全ての公共施設について参考になると思いますが、図書館建設以外で視察を受けたことはほぼありません。
 公共施設は貴重な税金を使って身近な土地に建つのですから、利用者の考えを反映したいものです。特にまちづくりや教育・福祉・文化に係る施設でしたら、施設が完成した後に、市民がどのように使いたいのか、どのように運営に参画できるのかを軸に考えるべきです。だから、行政主催の説明会で要望を発言するだけでなく、市民自身による「学習」が大事なのです。(館長 鴻上哲也)

<佐賀新聞 令和4年2月21日付「いすの木のもとで」より>

自動車図書館

 図書館は来館者に本を貸すだけでなく、お近くに本を届けるサービスも行っています。その代表格が自動車図書館。県内では四つの市で実施されていますが、図書館から離れた所にお住まいの方や交通手段が不便な方、体が不自由な方に喜ばれています。
 また、学校や保育園、福祉施設などにも定期的に巡回して団体貸出を行うなど、身近に読書が楽しめるまちづくりにも一役買っています。
 さらに伊万里市では、スマホで予約すれば近くのコミュニティセンターで受け取れるサービスも始めました。手の届く所に本がある暮らしってすてきですね。(館長 鴻上哲也)

<佐賀新聞 令和4年1月24日付「いすの木のもとで」より>

イマリペディアン

 インターネットの百科事典ウィキペディアを利用している方は多いと思います。世界中のボランティアによって5500万項目以上の記事が作られています。
 伊万里では、市内の文化財や人物・観光などについての記事を作成するボランティアを「イマリペディアン」と名付け、その養成セミナーを開催しました。高校生から高齢者までのメンバーがともに学び、その成果として「山ン寺遺跡」の記事を作成・投稿していますのでぜひご覧ください。
 「調べてわかったことを、整理して発信する」。とてもシンプルですが、人が学ぶことの大切さが凝縮されていると思います。図書館を使った新しい学びの形といえるでしょう。(館長 鴻上哲也)

<佐賀新聞 令和3年12月27日付「いすの木のもとで」より>

伊万里ミントの会

 図書館を使ってもっとワクワクしたい市民が集まって「伊万里ミントの会」が、今年発足しました。市民の「ミン」と図書館の「ト」で「ミント」です。
 コロナに対抗して暮らしの中に学びと出会いを取り戻すため、リレー講演会「森羅万象物語」と、ウィキペディアに投稿する技術を学ぶ「イマリペディアンセミナー」を企画して参加者を募集されています。講演後のブックトークや文献調査を組み込んでいる点が図書館を活用した特色です。
 図書館は、市民との協働で絶えず進化を続ける有機体であると言われますが、まさにそれを実体化した取り組みでしょう。(館長 鴻上哲也)

<佐賀新聞 令和3年11月29日付「いすの木のもとで」より>

「まちかど絵本館 えほんのたね」

 「うちどく」ってご存知ですか?家庭での読書により親子のコミュニケーションを深める実践で、県内各地でさまざまな広がりを見せています。
 伊万里市では黒川町が先進地ですが、先月「まちかど絵本館 えほんのたね」が始まりました。使われなくなった公衆電話ボックスに本棚を作り付け、町民から提供された絵本を配置し、いつでもだれでも自由に借りて読めるようにしたものです。町内8か所に設置されました。
 子どもも大人も絵本に触れ合う機会を増やそうとボランティアの皆さんが企画され、行政との協働で実現しました。市民の皆さんの善意に支えられた「えほんのたね」が大きく育ちますように。(館長 鴻上哲也)

<佐賀新聞 令和3年11月2日付「いすの木のもとで」より>

図書館の郷土資料

 秋祭りのシーズンを迎えますが、残念なことに今年も中止や縮小を余儀なくされている所が多いようです。非日常の演出で、連帯感や自己存在感を味わえる祭りは、地域にとっても個人にとっても欠かせない行事です。
 参加できない時には、祭りの由来を辿りながら、郷土の歴史に触れてみてはいかがですか。どの図書館にも郷土資料のコーナーがあり、地域のシンクタンクとして必要な情報が収集されています。
 伊万里市民図書館では、「歴史と風土」「文化をつくる」「自然と産業」「社会をつくる」といった4つのテーマで分類しています。貴重な資料もご利用できますので、図書館員にお尋ねください。図書館の郷土資料は、地域文化のバロメーターなのです。(館長 鴻上哲也)

<佐賀新聞 令和3年10月4日付「いすの木のもとで」より>

95歳のヘビーユーザー

 今日20日は敬老の日。伊万里市民図書館が誇る最強のヘビーユーザーをご紹介します。
 白い三輪スクーターでさっそうと来館されるKさん(男性)は大正生まれの95歳。累計の貸出冊数は、なんと3万3263冊!
 腰は曲がっても、本を選ぶときの目は真剣そのもの。メガネをかけ直して主に小説の書架を巡りながら、毎回20冊ほどを借りて行かれます。
 ベテランの図書館員とは、下の名前で呼び合うほどの仲の良さです。少し耳や足がご不自由ですが、優しい瞳の輝きと、穏やかでしっかりとした話しぶりは、「生涯読書」が心の健康と豊かさをもたらすことを証明しているかのようです。いつまでもお元気で!(館長 鴻上哲也)

<佐賀新聞 令和3年9月20日付「いすの木のもとで」より>

読書するほど高い認知機能

 先日、興味深い調査結果が発表されました。国立青少年教育振興機構が全国の20代から60代の男女5000人を対象に行った「子どもの頃の読書活動の効果に関する調査研究」です。
 それによると、①子どもの頃の読書量が多い人ほど、認知能力(情報を一時的に記憶する力)が高く、②本(紙媒体)で読書している人ほど、自己肯定感や批判的思考力・主体的行動力が高い傾向にあるそうです。昔から「本を読むと頭が良くなる!」と言われてきましたが、その一部が実証されたことになります。
 ちなみに、1ヵ月に1冊も本を読まなかった人は、年代に関係なく増加した(5年前と比べて20ポイントも!)という結果も出ていました。子どもに「読みなさい」という前に、まずは大人ですね。(館長 鴻上哲也)

<佐賀新聞 令和3年8月23日付「いすの木のもとで」より>

調べるときは、本? ネット?

 ちょっと分からないことがあると、すぐにスマホで調べられる便利な時代です。夏休みの自由研究でも大活躍でしょう。
 ところで、調べる方法は「本か?」「ネットか?」が時々話題になります。図書館としては、もちろん本を「推し」ていますが、情報収集の手段としてネットには優れたところがありますので、ぜひ使い分けてほしいものです。
 そして、調べる際にはなるべく「人」に尋ねることをお勧めします。親・先生・司書・施設職員などからの意見を加えると、さらに考えが深まります。人や本から学んで、自分で考えたことをまた人に伝える。相手を意識することで、思考力や表現力が高まるのです。
 今年も、伊万里市では市内の小学生を対象に「図書館を使った調べる学習コンクール」を開催します。詳しくは、図書館にお尋ねください。(館長 鴻上哲也)

<佐賀新聞 令和3年7月26日付「いすの木のもとで」より>

「密」にならないイベント

 7月7日は、伊万里市民図書館26年目の開館記念日です。今年も、大勢の皆さんに集まっていただく「図書館☆(ほし)まつり」は開催できませんが、有志の皆さんと職員で話し合い、代替イベントとして「天の川としょかん」を開催することにしました。
 ホールを宇宙に見立てて、天の川の上に宇宙やロマンス関連の本をたくさん並べます。参加者はめいめい好きな本を借りたら、その場所にメッセージを書いた星型カードを置きます。11日までの期間中には願い事いっぱいの天の川が完成する予定です。
 「密」にならなくても、本でつながる人の温かさを感じられるイベントをめざしています。(館長 鴻上哲也)

<佐賀新聞 令和3年6月28日付「いすの木のもとで」より>