『ツバメの親子はどこにいる』
樫崎 茜/著 くもん出版
明照の新一年生になる弟の音晴は、母親が入学式に白杖(視覚障害のある人が持つ杖)を持ってくることを嫌がります。母親の目が見えないこと、父親も目が見えにくいということを、家族の中ではっきりと話をしたことがないので、明照自身も何となくの理解だけで、弟が両親のことを理解しているのか、分かっていません。明照は白杖を母から取り上げることは道をふさぐことだと頭ではわかっているのです。しかし、クラスメイトに母のことをからかわれたり、靴に鈴をつける暮らしを友人に変だと言われたりした経験から、目立ちたくない、知られたくないという気持ちの葛藤に悩みます。 …。
『みんなでつくる「読書バリアフリー」 だれもが読める本のかたち』
成松一 郎/著 河出書房新社
皆さんは「読書バリアフリー」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。本書では、発達特性や聴覚、身体的に障害がある人たち、外国にルーツのある人など、あらゆる面で読書にバリア(障害)を感じてきた人々のインタビューを紹介しています。個人的な問題だと思われていた「障害」は、現代では社会や環境の側にあるという考え方に変わってきています。つまり、環境が変わればすべての人が読書を楽しめる世界に近づけるのです。今なんのバリアもなく本を読める皆さんも、年齢を重ねれば読みにくさを感じることが出てくるかもしれません。あなたの、みんなの幸せにつながる「読書バリアフリー」について、ちょっと考えてみませんか?
『学校では教えてくれないシェイクスピア』
北村 紗衣/著 朝日出版社
本書は男子高校生向けに行われた「シェイクスピアを批判的に楽しむ」という授業を書籍化したものです。「シェイクスピア」と聞いてよく知られているのは「ロミオとジュリエット」でしょうか。恋人の仮死状態に気づかず自害するというラストは個人的に納得していませんでした。そして言い回しが難しそうです。しかし本書を読み進めると「??」が「・・・!?」に変わりました。会話調でとても読みやすい文章で、時代背景や戯曲のテーマ、演出の技法、翻訳の工夫に至るまで、様々な観点から作品を学ぶことができます。本を読みたくなる、よりも演劇を観たくなる!?
『野田洋次郎歌詞集 RADWIMPS論』
野田 洋次郎/著 KADOKAWA
―答えがある問いばかりを 教わってきたよ だけど明日からは 僕だけの正解をいざ 探しにゆくんだ― 卒業式でおなじみの曲になったRADWINPSの『正解』。長い曲だと感じていましたが、歌詞を読めば読むほどその長い理由が分かる気がしますし、今の時代を生きる、その年代が抱える「思い」が伝わりました。「生」「心」「哲」「音」のテーマに分けられる野田洋次郎さんの歌詞に、小説家の三浦しをん氏や、岩井俊二監督など、各界の著名な方々の綴った寄稿文も見どころの一つです。