『昭和問答』 | |
鴻田中 優子/著 松岡 正剛/著 岩波書店 博覧強記という言葉は、この二人のためにあるのではないかと思います。これまでに出された、「日本問答」「江戸問答」に続くシリーズ第3弾は、稀代の江戸学者と編集者の両氏が、昭和という、戦争と膨張に明け暮れた前半と、経済成長と競争に突き進んだ後半の時代を、明治・大正と平成とのつながりの中で詳細に解き明かそうとしています。知的刺激に満ちた対談ですが、松岡氏は今年8月に急逝されたので、これが最後になります。巻末の文章によると、氏は本書のあとがきを脱稿した直後に病状が急変し亡くなられたとのこと。ということは、この本は遺著とも言えるのではないでしょうか。氏のメッセージを受け止めてみませんか。 (T.K)
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『一人反省会をして、いつも落ち込んでしまう人へ』 | |
コハラ モトシ/著 樺沢 紫苑/監修 日本実業出版社 1日の終わり、布団に横になると頭の中で「一人反省会」が始まってしまう方、自分は何もできないと自己肯定感が下がりがちな方…あなたはひとりじゃありません。この本は、そんなあなたにそっと寄り添ってくれます。 何もしない」というとマイナスなイメージに捉えられることが多いですが、「否定しない」・「悪口を言わない」・「人を裏切らない」、これも素晴らしい長所です。悩むのは「一生懸命」の証。強くなる必要はありません。悩みを抱えたうえでどのように対処するか、少しでも心が軽くなる方法を一緒に考えてみましょう。 (A.K)
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『ななつ星への道』 | |
唐池 恒二/著 PHP研究所 2009年にJR九州の代表取締役社長に就任した著者。2011年の九州新幹線全線開業と、「JR博多シティ」オープンの前から、すでに九州内を巡る豪華な寝台列車をつくるという、次の目標を持っていました。秘密裏に進めたそのプロジェクトでは、クラシックなデザインの列車に、柿右衛門の洗面鉢など九州内の豪華な工芸品を揃えました。2013年から運行が始まると期間限定での予約と厳正な抽選、1名で125万円の価格設定でなかなか乗れないこともあり、その価値は高まりました。車内のおもてなしも話題となり、ななつ星の評判は世界中に広がっています。そのブランド戦略の足取りを著者が振り返ります。 (K.S)
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『ヤマザキマリの世界逍遙録 2』 | |
ヤマザキ マリ/著 JALブランドコミュニケーション 漫画家のヤマザキマリさんが、幼少期から現在にかけて巡った世界の国々の思い出を語った見聞録です。中学2年生の大みそかにドイツで一人路上宿泊になりかけたり、沖縄ではシュノーケリングのたびに出会う魚に名前を付けたりと、訪問した各地にまつわるエピソードが綴られています。 なんと、伊万里市を訪れた際の心温まる話も掲載されています。ヤマザキさんが大川内山で出会った案内人とは、いったいなんなのか。ぜひご自分の目でお確かめください。 (S.S)
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『岸本葉子の暮らしの要』 | |
岸本 葉子/著 三笠書房 著者は63歳。ひとり暮らしも43年目です。20歳の頃、一冊の本との出会いから自分の身の回りを好きなもので設えていくと、気持ちが落ち着き心も整うことを感じました。著者は節目節目に、自身の病気や親の介護、その時々のことを振り返って、やってよかったことや、やめてよかったことなど、うまく手を抜きながら心地よさを保つ暮らしのコツをフォトエッセイで紹介しています。暮らしは私たちのそばにいて、その暮らしを大切にしていきたいと思う一冊です。 (Y.K)
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『華麗なる野鳥飛翔図鑑』 | |
齊藤 安行/解説 小堀 文彦/写真・イラスト 高野 丈/写真 文一総合出版 鳥の最大の魅力「飛ぶ」ということに改めて着目した本書は、161種の鳥たち全てが飛翔写真で紹介されている今までにない野鳥図鑑です。それぞれの鳥の解説に加え、「飛ぶ」とはどういうことか、翼のしくみについてなど、鳥の飛翔についてあらゆる角度から知ることができます。 木々が葉を落とし、森や雑木林の見通しがよくなる冬はバードウォッチングに最適な季節。冬空を賑わす鳥たちの翼を広げた美しい姿や飛び方の違いを意識しながら、野鳥観察を楽しんでみませんか? (Y.M)
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