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おすすめの本
『他人屋のゆうれい』  
王谷 晶/著 朝日新聞出版

 周囲との関わりを避けるように暮らす大夢は、伯父さんの訃報を受け、片付けのためにマンションに向かいます。そこは、単なる部屋ではなく伯父さんが営んでいた「他人屋」という便利屋でした。そのまま住むことになった大夢でしたが、幽霊が出入りするのを目撃してパニックに。幽霊の正体を探るうちに、向かいの部屋で本屋を営む小石川をはじめとするユニークな隣人たちとも打ち解けていき、次第に大夢の心は変化していきます。親戚の間では変人だと噂されていた無口な伯父さんでしたが、マンションの隣人たちからは慕われていたようで…。
(A.K)
 
『福岡レトロモダン建物めぐり』
月刊九州王国編集室/著 メイツユニバーサルコンテンツ

 煉瓦造りで重厚感があってシャンデリアがある。レトロでお洒落でどこか可愛い、そんな建物が日本にはまだまだあります。佐賀のお隣、福岡県の建物案内記です。
 かつて銀行だった場所はギャラリーに、贅を尽くした邸宅は観光地になるなど、目的は変わっても姿はそのままに、今も人々の暮らしに溶け込んでいます。一方で、市庁舎や駅など、昔からの役目を今も現役で果たしている建物もあります。
 日本が発展の途にあった時代の生き証人、レトロモダンな建物を学ぶ一冊です。

(S.S)
 
『サプリメントの正体』
田村 忠司/著 東洋経済新報社

 サプリメントへの関心は高まるばかりで、ドラッグストアやコンビニ、テレビショッピングでも手軽に入手でき、今やその市場は1兆円超えだそうです。しかし、一方で、期待した効果が得られなかった、飲んだサプリメントによって健康を害した、という事も起こっています。そんな現状を踏まえ、サプリメント・メーカーの経営者である著者が、心身が喜ぶ食生活や運動習慣、ストレス対策の実践を前提として、健康に役立つサプリメントとの付き合い方を指南しています。併せて、栄養の大切さ必要性にも触れています。
(Y.O)
 
『ことばが変われば社会が変わる』
中村 桃子/著 筑摩書房

 世の中の変化とともに、新しいことばが次々に誕生しています。著者は、「セクハラ」や「女子〇」を身近な例に取り上げ、そのことばが生まれる前と後で、社会や人の考え方がどのように変化したかを、社会言語学の観点で明らかにしていきます。また、他人の配偶者をどう呼ぶかという、「変えたい」けれど「変えられない」悩ましい問題にも正面から向き合います。自分の意に沿わない社会の変化を嘆くばかりでなく、私たち自身が持つ隠れた意識や価値観を変えることこそ必要なのかもしれません。
(T.K)
 
『海外児童文学をめぐる冒険』
越高 綾乃/著 かもがわ出版

 幼い頃から本の世界にのめり込み、創造の世界を生む作者達への尊敬が深い著者が、本をもっと好きになるきっかけとなった出来事を綴ったエッセイです。
 好きな本を共有する難しさに落ち込み脱却した出会いや、かわいいピーターラビットの世界に人間味の溢れた考察を教わったり、本とイラストの関係など、読み進める度に手を止めて「本を読む」という事を考えさせられました。読む本を選ぶとき、表紙や挿絵で選ぶ事はありませんか?
 本に対する想いを書かれているのは、近年の本離れの危機感からでしょうか。著者の想いが少しでも伝わる事を願っています。

(Y.M)
 
『校正・校閲11の現場』
牟田 都子/著 KTC中央出版

 校正者である著者が、同業の人たちが、どんな気持ちで、どのように仕事をしているのかを聞いてみたいと思い、取材をしました。
 校正は、言葉が世に出る前にあらかじめ目を通して誤りがないかを確かめ、不足を補うことが役目。本や雑誌の他、ウェブ上やテレビ、地図にも言葉のあるところには必ず校正があります。たとえばレシピは、読者が料理を作れるように決まり事が多く、テレビのテロップは完成度よりも正確さを優先するなど、常に見る人や読む人の目線で考えられています。見えないところでたくさんの人が力を尽くしているのだと改めて感じさせられます。

(A.S)