令和6年度8月号

『それでも私が、ホスピスナースを続ける理由』

 ラプレツィオーサ伸子/著     Gakken

  治療の見込みがない病人に行われる終末医療の事を「ホスピス」と言います。5月におすすめした本『死ぬのは、こわい?』は、日本のホスピスでの物語でした。今回は、その現場で働く看護師のお話で、舞台はアメリカです。ホスピスナースは患者に一番近くで接する立場であり、その家族にも寄り添っていかなければいけません。訪問看護の勉強をするためにアメリカへ渡り、「自宅で死を迎えたい患者の願いを叶え、看取る職業」を選択した著者の、実話をもとにしたお話です。


 




『戦争は、』

  ジョゼ・ジョルジェ・レトリア/文 アンドレ・レトリア/絵 
 木下眞穂/訳   岩波書店

 戦争は、何も知らない人たちの
柔らかな夢に入り込む。―
病気のように進行して、憎しみ、野心、恨みを糧にする化け物。連日報道されるウクライナ侵攻のニュースやイスラエル・ガザ戦争を「遠くのこと」だと思っている人。天気予報やエンタメ情報と同じような感覚で、日常を奪われた人たちの事を見ている人。この絵本のシンプルな文章と独特な絵に、戦争の不気味な恐ろしさを感じます。もう一度、今世界で起きていることに目を向けてみませんか?





『ノーベル賞 受賞者列伝』

 若林 文高/監修 講談社

 ノーベル賞には6つの種類があります。聞いたことがあるかもしれません。平和賞や文学賞は何となくわかっても、科学系のテーマはよく理解できませんね。75年も前に日本人初の受賞者となった湯川秀樹さんの「中間子論」。中学生で分かる人がいたら教えてほしいです。この本では湯川さんはもちろん、アインシュタインやキュリー夫人など11人の研究者の生い立ちや考え方、研究内容がくわしく解説してあります。ips細胞で有名な山中伸弥さんは、元は整形外科の医師だったのですが、手術が苦手だったようです。









『友だちがしんどい
        がなくなる本』

 石田 光規/著  講談社 

  友達と一緒にいるのは基本的には楽しいです。でも、時々「しんどい」と感じることがありませんか?現代の友達づきあいは学校以外でも、SNSなどのコミュニティが増え、目の前にいない人とでも簡単につながることができます。ではスマホがなかった幼少時代、あなたはどうやって友達を作っていたのでしょうか?本書では「友だち」という関係性について、人付き合いのコツから、しんどいと感じてしまう原因など、あらゆる方向から考察し、自分自身が疲れない心の在り方を学ぶことができます。







『名作の英語にふれる』

 川島 弘美/著  岩波ジュニア新書

  英語が得意な人は、一度は憧れたかもしれない翻訳の仕事。この本では『あしながおじさん』や「最後の一葉」などの名作8作品の一部が、原文と語句の意味、和訳のポイントまで解説しています。自分で訳した後に比較する訳例も載っていて、勉強に使うことができそうです。作品の紹介と作者の背景などを見れば、ますます興味が深まるはずです。ぜひこの本で翻訳に挑戦してみてください。自学でもいけそうです。それを楽しいと思ってくれた人は、今度は図書館へ!原文の本、英語バージョンの絵本がたくさんありますよ!!