令和7年3月号
 『ヤングタイマーズのお悩み相談室』
 
 石川宏千花/著   くもん出版

   土曜日夕方5時から始まる中学生のためのラジオ番組「放課後の放課後」。今日も2人のパーソナリティが「お悩み相談室」のコーナーで中学生たちの悩みに答えます。友人関係、家族関係、自分の個性について等々、アドバイスはちょっと脱線しながらも的を射ています。彼らは俳優とミュージシャンで、古い車が大好きです。掛け合いでもよく「セリカ」「キャバリエ」などの名前が出てくるので、思わず検索してみたくなります。ヤングタイマーとは1980~2000年代前半に生産された車のことです。「悩む気持ちには星三つも星一つもない」と、真剣に10代のリアルに向き合ってくれる彼らの答えに胸が熱くなります。


 



『介護の花子さん』

 
  あさばみゆき/著  Gakken

 就職活動に後れをとってしまい「お祈りメール」(不採用通知)をもらう日々だった花子。とうとう内定をもらえず大学を卒業します。投げやりな気持ちで就職したのはサービス付き高齢者住宅「ふぁんホーム」。花は介護を甘く考えていただけに、担当する入居者の菊池さんに冷たくされ、すぐに転職を考えるのでした。しかしそんな菊池さんや職場の人たちと関わっていくことで、ひたむきで少し天然な花子は少しずつ成長していきます。感動とお笑いの要素がたくさん盛り込まれ、過酷な労働環境をイメージしがちの仕事ですが、見方が少し変わるかもしれません。




『空はみんなのもの』

 
 ジャンニ・ローダリ/文  荒井良二/絵  関口 英子/訳  ほるぷ出版

 -空って みんなの空だよね     だれにだって 空は どこまでも つづいているー ニュースではアメリカの移民問題やウクライナでの戦争、ガザ地区の攻撃などが報道されています。人間も動物も、自分の空を同じだけもって生きている。どうして空はずっとつながっているのに、大地は境目だらけなのだろう。境目を巡る争いは終わりません。イタリアの作家ジャンニ・ローダリ氏が60年前に書いた詩を関口英子氏が訳し、荒井良二氏が描き下ろした、平和を問いかける絵本です。






『猫と考える動物のいのち』

 
 木村友祐/著 筑摩書房

    動物も人も幸せに生きたい。私たちの知っている動物はペットや動物園で見るものだけではありません、害獣とされる動物、人間が食べるために生かされる動物もいます。敵対して駆除される命、当たり前のように食用にされる命の価値とは?人間と動物たちとは大きく違います。自由に行動できる動物と違い、人間は目的・目標・成績・評価に始終追われる生き物です。著者である木村友祐氏と、相棒の猫たち、クロスケとチャシロが命についての新たな見方について考え、みなさんに語ります。「生きよ なでよ」です。


 



『13歳からの「身になる読書術」』

 
 大井 雄一/著   メイツ出版

 文字が多い。何を読んでいいかわからない。面白い本が見つからない。と、本が苦手な人は言います。でも要は誰かに後押しされた本が面白ければ、文字数は気にならないということです。そこで本書の出番です。どうすれば自分に合った本が見つけられるか、読書の習慣が無い人でも興味を持ってもらえる楽しみ方を紹介しています。図書館の司書や書店員に尋ねることはもちろん、学習漫画を出版社ごとに徹底比較したコーナーは、実際に学校の図書室にそろえてありそうな歴史漫画が掲載してあり、面白そうですよ。