令和6年度11月号
 
『光の粒が舞いあがる』
 
 蒼沼 洋人/著   PHP研究

 父親の暴力が原因で母と2人で暮らす心愛は、学校での友人の態度にモヤモヤしたり、母の傲慢さにつらさを感じたりしていました。ある日、心愛はボクシングジムでサンドバックに打ち込みをしている女の子「こはく」を見て、憧れのような感情を抱きます。こはくも心愛の存在に気づき、サンドバックを打ってみないかと誘います。母に内緒でボクシングジムに通うようになった心愛は、ひたむきに、前向きに好きなものに打ち込める楽しさを知りました。その時だけは友人のことも母のことも忘れることができます。しかし、母にジムに通っていることがバレてしまい…。


 



『12音のブックトーク』

 
  こまつあやこ/文    あかね書房

 中学校に入学して、新しい環境になったものの、自分に自信が持てない初奈。彼女の唯一の心休まる時間は、朝読書でした。「もうねこをかぶりたくない」と何気なく書いた瞬間、急にまぶしさを感じ、目を開けると全く別の学校の女の子になっていました。それは彼女が読んでいた『ことだまメイト』という本に秘密があるようです。入れ替わった相手は柚菜という女の子でした。初奈は柚菜と一緒に入れ替わりの謎を追いながら仲良くなり、ブックトークに出会います。ブックトークによって自分を取り戻した初奈。そして『ことだまメイト』の謎とは??


『かんばんのないコーヒーや』

 
 かめおかあきこ/作   ほるぷ出版

 ふらりと入った看板のないお店のどんぐりコーヒーに心を奪われたオオカミくん。くまマスターの入れるコーヒーは苦くて甘くて複雑な味がします。どうしても自分でその味を再現するために、何度も失敗を繰り返します。マスターは「いつもどんぐりのこえをきけ」と、どんぐりに愛情を持てと諭します。オオカミくんはどんぐりの研究を始め、水のおいしい場所を求めて引っ越しを決めます。一杯の最高のコーヒーを入れるために努力を重ねた、一人のマスターがモデルです。日本のどこかにそのお店はあるそうです。






『僕たちはまだ、総理大臣の事を何も知らない』

 
 長谷部 京子/著 Gakken 

  先月の自民党総裁選の結果、石破茂さんが選出されました。今の与党は自民党ですから、必然的に総理大臣に選ばれたということになります。総理大臣になるための関門はいくつもあり、時には運も必要です。この本では総理の仕事やランキング、そして歴代の総理大臣や大臣、党代表のインタビューも見どころの一つです。ちなみに石破さんのインタビューもあります。新しい総理の子ども時代や政治家としてのやりがい、総裁選に立候補する理由に親しみを感じさせられます。
 

 



『中学生からの 絵本のトリセツ

 
 川口 かおる /著   岩波書店
 
 「絵本」と言われたら、あなたは何の絵本を想像しますか?何度も繰り返し読んだ本は何でしょうか?「しろくまちゃんのほっとけーき」に憧れませんでしたか??文庫に比べると、ちょっとお高いですが、物語だけでなく絵も楽しむことができる絵本。本書では、絵本をアート感覚で見たり、沼にハマって推しを作ったり、ちょっと小さい頃の感覚とは違う、10代ならではの視点で考え、楽しめる方法が載っています。絵本は幼い子どもが読むもの、というルールはありません。年齢を問わず、誰でも読め、時には今の心を満たす一冊に出会えるかもしれません。