『わたしは食べるのが下手』
天川 栄人/著 小峰書店
食べることに時間がかかる葵は小食で、いつも母から「なぜ食べないのか」と責められます。いつの間にか食事が機械的にこなしていく作業のように感じるようになりました。人と食事をしたり、その場面を想像すると、不安感におそわれたり、体の調子が悪くなる「会食恐怖症」と言われた葵ですが…。
「食べることは生きること」と言います。だからこそ、それを苦痛と感じる人もいるということです。給食を食べない人を自分勝手だと思う人もいるでしょう。摂食障害、貧困問題、宗教など、様々な角度から食べることについて考えてみませんか。
『命をつないだ路面電車』
テア・ランノ/著
関口 英子・山下 愛純/訳 小学館
ナチスドイツの時代に生きた、ある一人の少年の実話です。12歳の少年エマヌエーレは、イタリアの首都、ローマのユダヤ人居住区に家族と住んでいました。ドイツ軍がユダヤ人を連行しに来た日、母から逃がされ、路面電車の中に身を隠します。車掌はさりげなくエマヌエーレをかばってくれました。イタリア人の中にはドイツの同盟国とはいえ、ユダヤ人の命のために勇気をもって動いてくれる人がいたのだとわかります。あなたがもし、強い権力を前にした時、自分が盾になって弱い立場の人を助けに動くことができるでしょうか。
『私は十五歳』
アズ・ブローマ/原案 なるかわ しんご/絵
イマジネイション・プラス
本書は「仮放免の子どもたちによる絵画作文展」で受賞された作文を絵本化したものです。戦争から逃れ、自分の住む国から家族と日本へやってきた十五歳の少女は、難民として認められず「仮放免」という立場で生活をしています。その立場は非常に弱く、就労資格がありません。保険証も持っていません。保護を受けることもできません。見開きに少女と、日本人の15歳が同時に描かれています。ただ、みなさんと生まれた国が違うだけなのです。
『おせっかいな化石案内』
芝原 曉彦/著 誠文堂新光社
私たちの住む日本は様々な時代の地層や岩石が寄り集まってできています。まさに「地質の幕の内弁当」。そんな日本各地から発見される化石化した古生物を調べるためには、たくさんの技術が必要です。それはきっと化石たちからすれば「おせっかい」なのかもしれません。様々な角度から化石を楽しめるよう、著者である芝原曉彦さんが日本各地にある博物館の「推し展示」について、ひたすら語りつくします。表紙のうねうねしたおかしな形をした化石は「異常巻アンモナイト」だそうです。
『タコのなぞ』
池田 譲/著 講談社
タコといえば?スミを吐く。足が8本ある。ヌルヌルしている。軟体動物。今の情報だけでもネガティブなものだらけですね。一番初めに食べた人は中々ガッツのある人です。海外では「デビルフィッシュ」と呼ばれているそうです。この本を読めばタコのことについてよくわかる…と言いたいですが、ますます怪しい生き物に見えてきます。タコの心臓は3つ?脳が9つある?海底を二足歩行することがある?頭と思っていたところは頭ではないかもしれない?ネガティブイメージ以上に、さらにタコについて???と思うはずです。