令和6年度12月号
 
『あるいは誰かのユーウツ』
 
 天川 栄人/著      講談社

  日々のモヤモヤの置き場所を探す中学2年生たちのお話です。6つのストーリーになっています。 合唱部でボーイソプラノが自慢だった悠太はスランプ気味で、部活を休みがちです。先生からも「大人になれ」と発破をかけられますが…。「声変わり」という体の変化に心が追い付けない葛藤に苦しみます。大人になりたくもあり、まだ子供でいたい。でも体や心は成長とともに自分の想像以上に変化していきます。6人のユーウツの種はそれぞれ違いますが、性への悩みに向き合う姿勢は、同じ中学生の皆さんにも共感できるところがあるはずです。




 



『シンプルとウサギのパンパンくん』

 
  マリー=オード・ミュライユ/文   小学館

 クレベールには知的障碍(ちてきしょうがい)をかかえた兄がいます。彼の名前は「シンプル」。クレベールはシンプルを施設に入れたがる両親に嫌気がさし、兄弟2人でパリにあるシェアアパルトマンで学生たちと共同生活を始めます。周りの人たちはもちろん、クレベール自身もシンプルと上手く接することができず、悩みます。しかし彼のことを受け入れようと歩み寄れば、意外なものが見えてきて…。心の温かさが読了後に残ります。表紙に描いてあるウサギのぬいぐるみ「パンパンくん」はシンプルの親友です。その不思議な関係もぜひ注目してください。…。





『夜明けをまつどうぶつたち』

 
 ファビオラ・アンチョレナ/作 NHK出版 

 ―長く雨が降らないジャングルで火災が起きました― 2019年、地球最大の熱帯雨林をもつアマゾンで起きた大規模火災のお話です。動物からの観点でとらえられています。煙で太陽が見えず、動物たちは太陽を探し求めて彷徨います。ようやく熱さを感じ、見つけたと思いきや、それは太陽ではなく…。森の大規模火災をよくニュースで目にするようになりました。気候変動によるものや、もちろん人為的なものもあります。森林がなくなるということは、地球にどう影響するのか、改めて考えてみませんか?







『私はこうして勉強にハマった』

 
 ビリギャル本人さやか/著 サンクチュアリ出版

  学年最下位、偏差値40だった女子高生ギャル、小林さやかさんの著書です。彼女は1年半の勉強で、慶応大学に現役合格しました。ではどうやって机に向かうことができたのか?小林さんは「認知科学」を大学院で学ぶことで、自分が勉強するためにやってきたことを改めて検証します。「地頭」とは生まれつきではなく、「考える力」で本質を見極める力。知識やテクニックに頼らずに考え抜く力。 具体的な勉強のノウハウやモチベーションの保ち方は、受験の追い込みを考えている人にとって知っておいて損はありません。
 



 



『13歳からの行動経済学』

 
   太宰 北斗/監修  ナツメ社

  消費者側の行動の裏側にある認知を知ることで、お金に対してのより良い判断が身に付く一冊です。数量限定・期間限定に弱いのはなぜか?人はなぜギャンブルにハマるのか?勉強や貯金を先延ばしにしないためには?などなど、目の前のお金や暮らしにまつわる「なぜ?」について学べます。人間は得した気持ちよりも、損した落胆の気持ちの方が大きく、損失回避の行動が出るそうです。では質問です。2000円を借金したとします。救済措置として①1000円の補助が出る②ジャンケンに勝つと2000円がチャラになる。さあ、あなたはどちらを選びますか?この行動で、すぐに②を選んだ人。この本をぜひ読んでください。