令和6年度7月号
 
「くろねこちゃこのぼうけん」
 
相野谷 由起/作 小学館

 くろねこのちゃこは、いろんなところをのぞくのがだいすきです。ながぐつのなかをちゃこがのぞくと、なにがみえるのでしょう。ながぐつをのぞいたらあめふりのひのことがみえるのです。ぴちびちぽったん あまだれのおともきこえます。こんどは、まくらのした、ベッドのした。そんなところには、なにがあるのでしょう。ちゃこがのぞくと、ほしがいっぱいです。こんどは、ごはんのふたのはこのすきまです。ごはんのおさかなたちをおいかけたちゃこは、どこへいくのでしょう。

 

「モジモジばあは、本のおいしゃさん」

仁科 幸子/作 文溪堂


 アンティとアントンは、図書館(としょかん)の庭(にわ)にあるメープルカエデの木の下(きのした)にすんでいる、はたらきアリです。ある日(ひ)、食(た)べものをさがしにでかけると、ふたりはなかまの列(れつ)からはずれ、図書館のなかに迷(まよ)いこんでしまいました。すぐにおおきな人間(にんげん)のくつが、ふたりの上(うえ)にせまってきます。たくさんの人(ひと)が、本(ほん)を読(よ)んだりしています。すると、「はやく上(うえ)にのぼっておいで」頭(あたま)の上で声(こえ)がしました。テーブルの上では、モジモジアリのモジモジばあがまっていました。
 モジモジばあは、図書館で本を生(い)きかえらせる仕事(しごと)をしているというのです。

 
        低学年から

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「月(つき)さんとザザさん」

 

角野 栄子/作・絵 小学館

 ザザさんはおばあさんです。森の中(もりのなか)の一軒家(いっけんや)に一人(ひとり)で住(す)んでいて、「おもしろいことなんてなにひとつありゃしない。」と毎日(まいにち)もんくばかり言(い)っています。ある夜(よる)のこと、「わがままばあさんにはがまんができない!」と、ザザさんの家(いえ)がさけびました。スミコさんという名前の家はサザさんを放(ほう)りだすと歩(ある)きだしたのです。ザザさんは家をおいかけます。スミコさんは「家出(いえで)をする」と大声(おおごえ)をあげ走(はし)りだしました。そのとき、空(そら)のさんぽをしていた月(つき)さんがザザさんのどなり声を聞(き)いて立ち止(たちど)まりました。

 


「イナバさんと夢(ゆめ)の金貨(きんか)」

野見山 響子/文絵 理論社

うさぎのイナバさんは寝(ね)る前(まえ)にコーヒーを飲(の)むことにしました。横着(おうちゃく)をしたイナバさんは、なぜかコーヒーカップを投(な)げてしまったのです。カップは毛布(もうふ)の上に落(お)ち、コーヒーはみるみるひろがりました。そこでコインランドリーへ急(いそ)ぎドラム式(しき)の青い洗濯機(せんたくき)へ毛布を入(い)れました。コインを投入(とうにゅう)すると、ザァァ……と水音(みずおと)が聞こえてきて、やがてイナバさんは寝(ね)てしまいます。アラームが鳴(な)り、イナバさんが洗濯機を開(ひら)くと中に何(なに)も入(はい)っていません。それどころか青い洗濯機も消(き)えています。するとどこからか――チリン、音(おと)がしました。