『十の輪をくぐる』 | 『わたしの好きな季語』 | |
辻堂 ゆめ/著 小学館 80歳の母親は認知症が進み、息子・タイスケのこともわからない時がありました。 タイスケは物心つくころからバレーボールの特訓を受け、母親から一流の選手になるように言われ続けてきました。いったいなぜあんなにバレーボールに執着していたのか?そもそも、2歳の時に亡くなった父親の死因は何なのか?その後なぜ、実家を離れ東京にでてきたのか?母親の過去について何も知らないことに気づいたタイスケは、口を閉ざす母親からなんとか聞き出そうとします。そこには不幸な結婚と理解のない実家を逃れ、必死に息子を育てた母の孤独な過去がありました。 (N.K)
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川上 弘美/著 NHK出版 小説家でもあり、俳人でもある著者。季語を本格的に知ったのは大学生のころで、『歳時記』という本がきっかけでした。見慣れぬ日本語の数々に、トレジャーハンターの気分になったと言います。 この本では、著者が好きな季語にまつわる本人の思い出と、その季語を使った俳句が96篇にわたって紹介されています。 「絵踏(えぶみ)」、「競馬(くらべうま)」、「蚯蚓(みみず)」、「蟷螂(かまきり)」など、一見季語ではなさそうな、そして、読み方に迷う漢字が並ぶさまは、見ただけで心が躍ること間違いなしです。 (A.K)
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『ひとり旅日和 縁結び!』 | 『棚からつぶ貝』 | |
秋川 滝美/著 KADOKAWA ひとり旅をする理由は人それぞれですが、日和はとても人見知りで、会社でも怒られてばかり。そこで、会社の社長からひとり旅を勧められます。今回旅をするのは函館や出雲、姫路などの5ヵ所。 旅をすることで行動範囲が広がり、日和は人と接することに少しずつ慣れていきます。また、旅先で出会った蓮斗のことも気になる日和。プライベートが充実すると仕事や恋もうまくいき…。 その土地に行った気分になるのはもちろん、ご当地の食べ物の表現がとても美味しそうに書かれているため、おもわずお腹がすいてきます。 「ひとり旅日和」の2巻目。日和の成長と蓮斗との行方も見どころです! (A.S)
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イモト アヤコ/著 文藝春秋 珍獣ハンターといえば、誰しもイモトアヤコさんが思い浮かぶのではないでしょうか。世界の果てまでイッテQという番組で、10年以上昔、セーラー服に太い眉毛を描いた姿で足の速さを見せつけ、番組のレギュラーの座を手に入れたイモトさん。以後この姿のまま、1年の半分以上を海外で過ごすことに。 そして行動力がある彼女は、世界最高峰の山に登ったり、ドラマ出演をしたりと大忙し。そんな彼女を支えた家族、先輩芸人、テレビクルー、そして大ファンと公言する安室奈美恵への思いなど、大好きな人に向けて書いた感謝のエッセイ。第一印象が最悪だった夫との出会いや、やらかし年表も収録。読むと明るくなれる1冊です。 (Y.E)
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『声が通らない!』 | 『小麦の法廷』 | |
新保 信長/著 文藝春秋 よく通る声ってどんな発声をしているのでしょうか。そもそも、いい声って、どんな声なのでしょうか。 居酒屋で店員に声が通らないというコンプレックスを持った著者が、体を張って調べてみました。いい声といわれる芸能人、発声の良いアナウンサー、ライブに雄叫びをあげるアイドルの追っかけに、大声といえば応援団まで…。ボイストレーニングに通い、著者が出した結論とは? 声と喉にまつわる取材と体験がギュッと詰まったユニークなルポルタージュです。 (Y.N)
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木内 一洋/著 講談社 杉浦小麦は一年間の司法修習期間を終えたばかりの新米弁護士です。法律事務所などには属さず、ケータイ弁護士と呼ばれるフリーランサーの一人でした。そんな彼女は、国選弁護人として初めて刑事事件の裁判を扱うことになります。仲間内の暴力事件の裁判ですぐに決着がつくと思われましたが、都内で起きた殺人事件との関係が浮上し、事態は思わぬ方向へ…。 タフでお茶目で正義感にあふれる小麦がとても魅力的で、真実を明らかにするために奔走する姿にエールを送りたくなります。 (Y.O)
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