平成25年11月号



川端 裕人/著 光村図書

 兄妹のように育ったいとこのナオを病気で亡くした中一のリョウは、喪失感に負けそうになっていた。そんな時、ナオと一緒に作文を考え応募していた「次世代の世界のリーダーを育成する権威ある団体」から合格の通知をもらう。地域と国際社会のリーダーを作るための世界各国における一年間の国際交流研修プログラム。アジア、アフリカ、南米・・・。現地で生活し、各国の抱える問題に実際に触れ、他者と協力しないと解決しないことや、人はどこかに不自由を宿していて、でもそれが前に進むパワーとなることなどを学び取っていく。
社会の中で、いかに生きるべきかという問題をストレートに問いかけてくる作品。



小前 亮/著 光文社

 「歴史を変えてみないか」とどこからともなく聞こえてきた声。中2の庄司由斗は、その声に誘われて、織田信長暗殺阻止のために時空の旅に出る。
思念体と呼ばれる幽霊のような存在になって、信長に忠告するために奔走する由斗。
親友の存在が消えたことに気付いた陽介と葉月は、友の窮地を救うために、戦国時代にタイムスリップするが・・・。
そこで出会った明智光秀は、トンデモナイ人物だった。
空想時代小説のなかに、家族の絆、青春の友情、初恋を織り込んだワクワク感満点の物語。 



小林 和久/著 朝日学生新聞社

 誰にでも、自分だけの、自分にしかわからない悩みがあるものです。でもそれは、ずっと昔から世界中の誰もが悩んできたことかもしれません。
「生きるって?」「家族って?」「自由って?」
古今東西の偉人たちの言葉が、ちゃんと悩むためのヒントになるかもしれません。
「われわれには、わからないことが少なくない。生き続けていけ。きっとわかっていくだろう」
(ゲーテの言葉)



市川 朔久子/著 講談社

 ある日突然、母親が旅に出てしまい、継父と妹の有里、そして中2の僕(論里)の3人暮らしが始まる。同じころ、創立20周年記念行事の実行委員をやることになった論里は、母親のブログから「キャンドルナイト」を思いつき、先輩や友人たちと苦労しながら、冬の星座を描き、校庭を光で埋め尽くすイベントを成功させる。
母親のいない間に、母親がいないからこそ考え続けた家族の愛情。
まわりのこころやさしい、芯の強い人たちに「迷惑をかけずに存在できるものなんか、どこにもないのよ」と教えられて成長する論里。
登場人物たちのキャラクターと、リズミカルでテンポの良い文章がさわやかな小説。