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おすすめの本
 

No.741  令和5年3月

『「おふくろの味」幻想』『失くした「言葉」を取り戻すまで』
 湯澤 規子/著  光文社

  誰もが一度は聞いたことがある「おふくろの味」とは何を指しているのか。おふくろが実際につくる味なのか、おふくろがいる故郷を想起させる味なのか、おふくろという女性に課せられた味なのか…。「やっぱりおふくろの味が一番」とノスタルジーを感じる男性と、男性のその言葉に不機嫌になる女性。郷愁を誘うだけでなく、恋や喧嘩の火種になる「おふくろの味」に対する意識は世代によっても違いが見られます。社会と時代を丹念に読み解き、「おふくろの味」が誕生した経緯とその正体を探ります。    
                 (S.M)

 森水 ちなみ/著  文藝春秋

 2009年にくも膜下出血で倒れた著者は、手術箇所とは別のところで脳梗塞が広がっていて左脳の4分の1が壊れてしまうという大病に見舞われました。
 本書は、当時人気のコラムニストだった著者が、17年ぶりに出した著作です。「家族のサポートなしでは何もできなかった」と語る著者。愛と笑いに溢れた家族との日常会話、壮絶なリハビリの様子、脳のMRIの写真などが掲載されています。術後は、「お母さん」と「わからない」としか言葉が出ませんでしたが、リハビリにと始めたパソコンのキーボードを一文字一文字打ち、時間をかけて綴った闘病記です。
                  (A.K)
『スマホはどこまで脳を壊すか』『お姫様と名建築』
  榊 浩平/著 川島 隆太/監修  朝日新聞出版

 10年間脳科学の研究を続けている著者がスマホでインターネットに接している時(オンライン)の脳を、様々な実験により計測した結果、分かってきた事実がまとめられています。実は、オンライン時には脳は機能しておらず、見た内容もほとんど記憶していないのです。さらに、オンライン習慣はコミュニケーション不足や認知症リスクを引き起こし子どもの学習や睡眠時間にも影響が出ているとのことです。
 実際に、著者自らスマホを持たない生活を2週間続ける実験をしています。スマホとのより良い付き合い方を知りたい方にお勧めしたい一冊です。
                 (K.S)
 嶽本 野ばら/著  エクスナレッジ
 
 お城に住むからお姫さまなのでなく、お姫さまが住んでいるからお城なのです…。
 古今東西、寺や宮殿、城塞や廟に住んでいた、お姫さまをめぐる怖くて悲しい歴史。名建築の中で恋をして、裏切られ、やがて閉じ込められてしまうなんて。
 お姫さまたちが時代に翻弄され、人生をも狂わせられる様子に、じんわり恐怖を覚えます。お姫さまの命の炎は消えてしまっても、あの名建築は、今も歴史を刻み、後世に伝えているのです。
                 (Y.N)

『モラハラ夫と食洗器  弁護士が教える15の離婚事例と戦い方』『アフリカではゾウは小さい』
 堀井 亜生/著  小学館
           
 モラハラとは『モラルハラスメント』の略、相手を追い詰めるほどの精神的暴力を指します。
 本書では、夫によるモラハラに悩む妻の様々な事例が、漫画と合わせてリアルに描かれます。厳しいルールで家庭を縛る、普通では信じられないようなモラハラ夫。壮絶な家庭環境に疲弊し尽くした妻は、モラハラ夫との別れを決意して、弁護士の協力を得ながら離別の道へと進みます。
  弁護士である著者は「一度しかない人生を、自分で考えて生きてほしい」と語ります。モラハラ夫に苦しみ悩む、女性の助けとなる一冊です。
                 (K.A) 
 岩合 光昭/著  毎日新聞出版

 野生動物の宝庫アフリカ。ボツアナ、ナンビア、タンザニア、マダガスカルを訪れた日本を代表する動物写真家の著者が、レンズを通してとらえた野生動物たちの姿が満載の撮影記です。
 テリトリーをめぐる闘い、獲物を狩る決定的な瞬間の写真は躍動感に溢れています。また、朝の光に包まれて母子ライオンが戯れる姿や水場に集う動物たちの周りにはゆったりとした時間の流れを感じます。厳しい自然環境の中で、命をつないでいる野生動物たちの豊かな表情や動き、彼らの営みに心が揺さぶられます。
                 (Y.O)