公太(こうた)の朝(あさ)の日課(にっか)はコップ二杯(にはい)の牛乳(ぎゅうにゅう)を飲(の)んで、ぶらさがり健康器(けんこうき)にぶらさがること。ぼくは背(せ)が低い。仲良(なかよ)しの希来里(きらり)は背(せ)が高(たか)いし、手足(てあし)も長(なが)い。ぼくと希来里(きらり)がジュニアバーレーボールに入(はい)ると、希来里はすぐにスタメンに選(えら)ばれたし、最近(さいきん)は毎日(まいにち)のように給食(きゅうしょく)の牛乳(ぎゅうにゅう)を「飲(の)んで」とぼくに頼(たの)んでくる。いいやつなんだけど、ときどきぼくの心(こころ)に黒(くろ)いしみがにじむ。背(せ)がのびるように工夫(くふう)しているのに、ぼくはチビのまま。こんなの不公平(ふこうへい)だよ。
ある日(ひ)、競馬場(けいばじょう)で馬(うま)を見(み)に行(い)かないかとさそわれた。なにやら希来里にも悩(なや)みがあるようで…。